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君子の過ちは隠さず、改めることで信を得る

子貢は、君子の過ちについて、太陽や月の食(欠け)にたとえて語った。
「君子の過ちは、あからさまである。隠そうとしないから、誰もがそれに気づく。
だが、君子はそれをすぐに改める。すると人々は、改めた姿を見て、かえって君子を尊敬するようになる」

この教えは、君子とは完璧な人ではなく、誤りに対して誠実である人であることを示している。
過ちを恐れるのではなく、過ちを認め、改めることこそが信頼を生む。
むしろ、透明であることと謙虚さこそが、君子の徳の証なのだ。


原文と読み下し

子貢(しこう)曰(い)く、君子(くんし)の過(あやま)ちや、日月(じつげつ)の食(しょく)の如(ごと)し。過てば人皆(みな)之(これ)を見(み)る。更(あらた)むれば人皆之を仰(あお)ぐ。


意味と注釈

  • 日月の食(しょく)の如し
     日食や月食のように、空の大きな天体が一時的に欠ける現象にたとえられている。つまり、目立つ・隠せない・誰の目にも明らか。
  • 過てば人皆之を見る
     君子の過ちは、隠されずに公然と知られる。見られても恐れず、取り繕わない態度を意味する。
  • 更むれば人皆之を仰ぐ
     改めたとき、人々はかえってその姿勢を尊敬する。誠実な自己修正の力が、人望と尊敬につながる
  • 君子像の深化
     この章句は、「君子=誤らない者」ではなく、「誤っても誠実に改める者」であるという、人間味ある理想像を提示している。

パーマリンク(英語スラッグ)

transparency-builds-respect

他の候補:

  • noble-faults-are-seen-and-healed
  • greatness-in-correction
  • sun-and-moon-may-falter

この章句は、リーダーシップ、信頼、誠実さとは何かを鋭く突くものであり、
現代社会においても、失敗後の対応こそがその人の価値を決めるという普遍の教えです。

1. 原文

子貢曰、君子之過也、如日月之食焉。過也、人皆見之;更也、人皆仰之。


2. 書き下し文

子貢(しこう)曰(いわ)く、君子(くんし)の過(あやま)ちや、日月(じつげつ)の食(しょく)の如(ごと)し。過(あやま)てば、人(ひと)皆(みな)之(これ)を見(み)る。更(あらた)むれば、人皆之を仰(あお)ぐ。


3. 現代語訳(逐語/一文ずつ訳)

  • 子貢曰く、君子の過ちや、日月の食の如し。
     → 子貢は言った。「君子(立派な人物)の過ちは、日食や月食のように、誰の目にも明らかになる。」
  • 過てば、人皆之を見る。
     → 「過ちを犯せば、それを皆が目撃する。」
  • 更むれば、人皆之を仰ぐ。
     → 「しかし、それを改めれば、皆がかえってその人を敬うようになる。」

4. 用語解説

  • 子貢(しこう):孔子の高弟。弁舌・知恵に優れ、対話や分析に秀でた人物。
  • 君子(くんし):道徳的に理想的な人物。徳と行動を備えた人格者。
  • 過(あやま)ち:過失、間違い、誤った言動。
  • 日月の食(にちげつのしょく):日食・月食。天文現象として誰もが見上げ、注目することの例え。
  • 更む(あらたむ):改める、修正する、悔い改めて正す。
  • 仰ぐ(あおぐ):尊敬する、敬意を払う。

5. 全体の現代語訳(まとめ)

子貢はこう言った:
「君子の過ちは、日食や月食のように誰の目にも明らかになる。
しかし、その過ちを改めれば、かえって人々はその姿を尊敬し、仰ぎ見るようになる。」


6. 解釈と現代的意義

この章句は、リーダーや影響力ある人物の“過ちと対応”が周囲に与える影響を深く示しています。

  • 君子は注目されている存在であるがゆえに、過ちも人目につきやすい
  • しかしその分、過ちを認めて改めることが、かえって人々の尊敬を集める要因となる。
  • 完璧であることよりも、**「過ちに対してどう向き合うか」**が君子たる証である。

7. ビジネスにおける解釈と適用

✅「リーダーの失敗は“見られている”──だからこそ改める姿が信頼を生む」

役職や影響力が大きい人のミスはすぐに広まる。しかし、誠実に謝罪し、対応を改めることができれば、信頼はむしろ強くなる。

✅「失敗の“対処”が評価を分ける」

ミスを隠そうとすれば信頼を損ない、正直に受け止めて行動すれば評価は高まる。
特にリーダー層では、「ミスゼロ」より「修正力」が問われる。

✅「見えるからこそ“徳”を示す機会にもなる」

注目される立場はプレッシャーでもあるが、正しさ・誠実さを示すチャンスにもなる
「謝る勇気」「方向転換の潔さ」が、リーダーの信頼資産を形成する。


8. ビジネス用の心得タイトル

「過ちは太陽と月の如し──誠実な修正こそ、尊敬を生む」
– 見られているからこそ、誤りを正す姿勢が輝く。謝罪と改善は、信頼を損なうどころか、深める行為である。


この章句は、「過ち=失点」と捉えるのではなく、「誠実さを示す機会」として活かせるという、極めて前向きで実践的な教訓を与えてくれます。

現代のマネジメント・教育・公共の場においても、「修正力」や「再信頼性」が強く求められる中で、まさに普遍的な指針といえるでしょう。

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