目次
1. 外貨建取引とは
外貨建取引とは、企業が外国の通貨(ドルやユーロなど)で取引を行うことを指します。
- 主な例:
- 外国の顧客に商品を販売して外貨で代金を受け取る場合。
- 外国の取引先から商品を購入して外貨で支払う場合。
2. 日本円への換算ルール
(1) 取引発生時
取引が発生した際には、その時点の為替相場で外貨を日本円に換算します。
【例1】ドル建て売掛金の発生
取引内容
- 日本企業が海外の顧客に商品を1,000ドルで販売。
- 商品の引渡時の為替相場:1ドル = 120円。
仕訳
借方:売掛金 120,000円 (1,000ドル × 120円)
貸方:売上収益 120,000円
(2) 決算時の換算
決算時に、外貨建の金額(売掛金や買掛金など)が残っている場合、決算日の為替相場で換算し、評価替えを行います。
- 為替差損益の処理:
- 円安により評価額が増加 → 為替差益(収益)として計上。
- 円高により評価額が減少 → 為替差損(費用)として計上。
【例2】決算時の売掛金評価替え
取引内容
- 前例の売掛金(1,000ドル)の決算日為替相場:1ドル = 125円。
換算
- 決算日時点の売掛金評価額:1,000ドル × 125円 = 125,000円。
- 前回換算額との差額:125,000円 – 120,000円 = 5,000円(為替差益)。
仕訳
借方:売掛金 5,000円
貸方:為替差益 5,000円
(3) 決済時の換算
外貨建の債権・債務を決済(支払いや受取)する際には、決済日の為替相場で換算します。
【例3】売掛金の決済
取引内容
- 決済日に1,000ドルを受け取り、為替相場:1ドル = 123円。
- 決算日時点で評価済みの売掛金:125,000円(1ドル = 125円)。
換算
- 実際の受取額:1,000ドル × 123円 = 123,000円。
- 決算時の評価額との差額:123,000円 – 125,000円 = 2,000円(為替差損)。
仕訳
借方:現金 123,000円
為替差損 2,000円
貸方:売掛金 125,000円
3. 換算のタイミングと適用相場
タイミング | 適用する為替相場 | 処理内容 |
---|---|---|
取引発生時 | 取引発生時点の為替相場 | 外貨建取引を円換算して仕訳を行う。 |
決算時 | 決算日時点の為替相場 | 外貨建債権・債務を評価替えする。 |
決済時 | 決済日時点の為替相場 | 実際の決済金額を基に差損益を計上。 |
4. 為替差損益の会計処理
- 為替差益:収益として計上。
- 為替差損:費用として計上。
為替差損益は損益計算書に反映され、企業の純利益に影響を与えます。
5. ポイント
- 適用相場を確認
各タイミングで適切な為替相場を使用する。 - 為替差損益を正確に処理
決算時や決済時に評価替えを行い、差損益を計上する。 - 換算ルールの徹底
取引発生時、決算時、決済時の換算基準を明確に。
外貨建取引の換算処理を適切に行うことで、財務報告の正確性が向上し、国際取引の透明性を確保できます。
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