目次
1. 剰余金の配当・処分の決定
株式会社では、剰余金の配当や処分 は株主総会において決定されます。これは、株主の利益還元や企業の経営戦略に基づいて適切に決定されるべき重要な事項です。
- 配当: 株主への利益還元として現金や株式で支払われます。
- 処分: 利益準備金や任意積立金など、企業内部に留保する形で利用されます。
2. 当期純利益・純損失の処理
(1) 株式会社の場合
- 当期純利益 または 当期純損失 は、決算時に 損益勘定 から 繰越利益剰余金(純資産) に振り替えられます。
- 純利益: 繰越利益剰余金(貸方)に記入され、純資産が増加します。
- 純損失: 繰越利益剰余金(借方)に記入され、純資産が減少します。
例1: 当期純利益を計上した場合
- 条件: A株式会社が決算で当期純利益10,000円を計上。
- 仕訳
損益勘定 10,000円 / 繰越利益剰余金 10,000円
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
損益勘定 | 10,000 | 繰越利益剰余金 | 10,000 |
例2: 当期純損失を計上した場合
- 条件: A株式会社が決算で当期純損失5,000円を計上。
- 仕訳
繰越利益剰余金 5,000円 / 損益勘定 5,000円
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
繰越利益剰余金 | 5,000 | 損益勘定 | 5,000 |
(2) 個人商店の場合
- 株式会社と異なり、当期純利益または純損失は 資本金(純資産) に振り替えられます。
個人商店の特徴
- 当期純利益: 資本金(貸方)に振り替えられ、純資産が増加。
- 当期純損失: 資本金(借方)に振り替えられ、純資産が減少。
3. 株式会社と個人商店の違い
項目 | 株式会社 | 個人商店 |
---|---|---|
利益・損失の振替先 | 繰越利益剰余金(純資産) | 資本金(純資産) |
配当・処分の決定権 | 株主総会によって決定 | 店主の裁量で決定 |
内部留保 | 利益準備金や任意積立金として分類 | 特に分類されない |
4. 意義とポイント
- 株式会社:
- 剰余金の配当や処分は株主の利益還元と経営安定性の両立を図る手段。
- 繰越利益剰余金を通じて、企業の利益蓄積や配当可能額を管理。
- 個人商店:
- 資本金の直接的な増減により、経営者の資本と利益を一体的に管理。
決算時の適切な処理が、企業や事業の健全な運営に直結します。
コメント