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知る者は、輪廻を超える


■引用原文(日本語訳)

聖バガヴァットは告げた。
「このようにプルシャとプラクリティと要素を知る人は、
いかなる境遇に生きていようとも、再び生まれることはない。」
(『バガヴァッド・ギーター』第13章 第23節)


■逐語訳

プルシャ(魂/観照者)、
プラクリティ(自然/物質)、
およびそこから生じる三つのグナ(性質・要素)について正しく理解している者は、
どのような人生環境に置かれていようとも、
再び生死の輪廻(サンサーラ)に入ることはない。すなわち、解脱に至る。


■用語解説

用語意味
プルシャ(Puruṣa)真我、意識存在。変化しない観照者。
プラクリティ(Prakṛti)物質的自然。身体・心・感情など変化する現象の基盤。
要素(グナ)サットヴァ(純質)、ラジャス(激質)、タマス(暗質)の三属性。プラクリティの性質。
再び生まれない(ナ・アビジャヤテ)輪廻からの解放。カルマの束縛を脱し、自由・解脱に至る。
境遇(ヤヴァン・バーヴァスティタ)生まれ・身分・職業・環境など人生の条件すべて。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナはここで、「魂(プルシャ)」「物質(プラクリティ)」「その性質(グナ)」を正しく見分ける智慧を持つ人は、
どんな境遇にあっても、生と死の繰り返しから解放されると説く。
霊的な理解こそが自由の鍵であり、外的な条件ではなく、内的な目覚めこそが解脱の決定因なのである。


■解釈と現代的意義

この節は、「悟りの条件は環境や立場ではなく、ものの見方・理解にある」と明確に教えています。
人生がいかに困難であっても、「自分は肉体でも感情でもない。変わらぬ観察者である」と知ったとき、
人は輪廻の原因となる執着・無知・混乱から自由になることができるのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

視点解釈と応用例
自己理解の深化「成果や役割に縛られている自分」と「それを静かに見つめる本質的な自分」を分けて理解することで、自由な発想が生まれる。
境遇にとらわれない成長育ちや立場、現状に関係なく、「どう考えるか」「どう捉えるか」によって可能性は無限に広がる。
ストレスの解放外的状況に原因があるように見える苦しみも、「どう意味づけているか」という内面を見つめ直すことで軽減される。
持続的幸福変化する状況の中で、変わらない視点=プルシャの視点を持つ人は、持続可能な心の安定と幸福を得られる。

■心得まとめ

「見分ける目が、自由をもたらす」

『バガヴァッド・ギーター』は、私たちが何者であり、何に縛られているのかを理解することこそが、
真の自由・悟り・解放への道であると説いています。
それは立場や環境に関係なく、どこにいても実現可能な「智慧による解脱」です。
「私は何を“自分”だと思い込んでいるのか?」――この問いに目覚めた人は、人生を根底から変える力を手に入れるのです。

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