MENU

簿記の勘定科目:「工具器具備品」の基礎知識

簿記で使用される「工具器具備品」という勘定科目は、企業が業務で使用する道具や備品を資産として管理する際に使われます。特に製造業やサービス業など、幅広い業種で活用される重要な項目です。今回は、この「工具器具備品」の基本的な考え方や会計処理のポイントについて解説します。


「工具器具備品」とは?

「工具器具備品」は、企業が業務のために使用する小型の固定資産を指します。具体的には以下のものが該当します。

  • 工具:ドライバー、レンチ、ハンマーなどの手工具
  • 器具:測定器、顕微鏡、計量器など
  • 備品:オフィスチェア、デスク、パソコン、プリンター、シュレッダーなど

「工具器具備品」と他の勘定科目の違い

「工具器具備品」は、通常1年を超えて使用される物品で、取得金額が一定額以上の場合に固定資産として資産計上されます。一方、以下のような場合は別の勘定科目を使用します。

  • 消耗品費
    取得金額が少額で、短期間(1年未満)で使い切るもの。例:コピー用紙や文房具。
  • 機械装置
    業務用の大型機械。例:製造ラインの機械。

企業の会計方針や税法に基づき、「工具器具備品」に該当する範囲を定めることが一般的です。


「工具器具備品」の取得原価

工具器具備品の取得原価には、購入価格だけでなく、それを使用可能にするためにかかった費用が含まれます。具体的には以下の費用が該当します。

  1. 購入価格
  2. 運搬費用(配送費)
  3. 設置費用(必要な場合)
  4. 保険料(初年度のもの)

例:5万円のオフィスチェアを購入し、配送費が5,000円かかった場合

借方:工具器具備品 55,000円  
貸方:普通預金 55,000円

減価償却の処理

工具器具備品は固定資産として扱われるため、耐用年数に基づいて減価償却を行います。耐用年数は物品の種類や用途により異なりますが、税法に基づいて設定されます。

  • 主な耐用年数の例
  • パソコンやプリンター:4年
  • 家具やオフィスチェア:5年
  • 測定器:10年

例:10万円のプリンターを購入(耐用年数4年、定額法の場合)

年間の減価償却費 = 100,000円 ÷ 4年 = 25,000円

仕訳例:

借方:減価償却費 25,000円  
貸方:減価償却累計額 25,000円

よくある仕訳例

  1. 工具器具備品の購入
   借方:工具器具備品 200,000円  
   貸方:普通預金 200,000円
  1. 運搬費用の支払い
   借方:工具器具備品 10,000円  
   貸方:普通預金 10,000円
  1. 減価償却費の計上(決算時)
   借方:減価償却費 50,000円  
   貸方:減価償却累計額 50,000円
  1. 修理費用の支払い(取得後の修繕)
   借方:修繕費 15,000円  
   貸方:普通預金 15,000円

工具器具備品に関する注意点

  1. 取得金額の基準
    税法上、少額資産として一括費用計上できる金額の上限が定められています(2024年現在、30万円未満)。この基準に該当する場合は、減価償却を行わずに購入時点で費用処理が可能です。
  2. 資本的支出と修繕費の区別
    備品の修理費が、単なる現状維持か、それとも性能を向上させるものかを判断します。性能を向上させる場合は資産計上します。
  3. リース契約の場合
    工具器具備品をリース契約で使用する場合は、「リース料」として費用計上し、資産計上しません。
  4. 固定資産台帳の管理
    工具器具備品は細かいものが多くなりがちです。台帳を適切に管理し、資産の状態や耐用年数を把握することが重要です。

まとめ

「工具器具備品」は、業務に必要な資産を正確に管理するための重要な勘定科目です。取得原価や減価償却の処理を正確に行い、財務諸表を適切に作成することで、企業運営の透明性と効率性を高めることができます。

この機会に、会社で所有している工具器具備品の管理状況を見直し、適切な仕訳処理を行ってみてはいかがでしょうか?

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次