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勝ち続ける国ほど、滅びに近づく

勝ち戦に酔いしれると、君主は驕り、民は疲れる。
それは、国の滅亡へと直結する危うい道である。

唐の太宗は、困窮した突厥の現状を聞き、「人民を顧みず、私欲に走り、忠義を重んじぬ者に国は保てぬ」と語った。
魏徴は続けて、戦国の名将・李克の言葉を引き、
「何度も勝つ国こそ最初に滅ぶ。勝てば驕り、戦えば民が疲弊する」と指摘した。

突厥の頡利可汗は、隋の混乱に乗じて中国に侵攻を繰り返し、その戦果に慢心していた。
だがそれは、確実に自らの破滅を招く道だった。

勝つことが目的となり、戦うことが日常になったとき、国家は静かに崩れ始める。
本当に国を治めたいなら、戦ではなく、仁義と民の安寧を基軸とすべきである。


■引用(ふりがな付き)

「数(しばしば)戦(たたか)い、数(しばしば)勝(か)つ。数(しばしば)勝てば則(すなわ)ち主(しゅ)は驕(おご)り、数(しばしば)戦えば則(すなわ)ち民(たみ)は疲(つか)る。滅(ほろ)びざるを何(なに)に待(ま)たん」


■注釈

  • 主驕・民疲(しゅおごり・たみつかる):主君が慢心し、民が消耗しきっている状態。国家存続にとって致命的な要素。
  • 李克の言葉:戦国時代、冷静に国の盛衰を見極めた軍師の教訓。
  • 頡利(けつり)可汗:突厥の君主。隋末の混乱期に乗じて勢力を拡大するも、やがて失墜する。
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