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昨日の敵を今日の友とする

中小企業が大手との競争に勝ち残るためには、独自の強みを活かした戦略が必要である。

N社はロール成型機のメーカーであり、価格競争の圧力に苦しむなか、自社の切断機の特徴を活かし、業界全体を顧客にする新たな戦略に踏み出した。

本記事では、N社が「昨日の敵を今日の友とする」戦略によって、安定した収益構造を築き、成長への道を開く過程を紹介します。

目次

昨日の敵を今日の友とする

N社はロール成型機のメーカーだった。同業のライバルは数社あり、そのほとんどが大企業か準大企業で、N社を除く一社を除いてすべてが規模の大きい会社だった。

そのため、常に大手からの価格競争の圧力を受け、業績は芳しくなかったものの、他の商品も扱っていたため、何とか持ちこたえている状況だった。

しかし、今後この分野での大きな成長は期待しにくい状況にあった。

N社の機械の特徴は、最終工程の切断機にあった。そこで私は、「参考までに」と前置きし、「切断機の専門メーカーとして業界全体の切断機を一手に引き受ける」ことを提案した。

こうすることで生産数が増加し、コストダウンの可能性が広がるからだ。どこかの会社が自社分のみを作り続けていては、コスト面でN社には到底かなわない状況が生まれるだろう。

こうして、業界全体を顧客として取り込むことが可能となり、「昨日の敵は今日の友」となるのである。

さらに、次の成長機会も生まれる。それは「切断機」の専門メーカーとしての道が開けることである。

こうなれば、自然と複数の業界にまたがることになり、事業は安定するだけでなく、収益の向上も期待できるのは間違いないだろう。これにより、高収益を生み出す事業構造が実現し、まさに戦略の勝利となるのである。

まとめ

N社は、切断機の専門メーカーとして業界全体の切断機を一手に引き受けることで、事業の安定と収益性の向上を目指した。

この戦略によって、業界全体を顧客とする関係を築き上げ、複数の分野にまたがる事業構造を確立した。N社の取り組みは、独自の強みを活かし、競争を協力に変えることで、高収益を生む事業構造を実現した好例といえる。

N社が直面していた状況は、業界内の大手企業からの価格圧力に苦しみ、将来的な展望が描きにくいものでしたが、ここで「昨日の敵を今日の友とする」戦略が生かされました。この戦略は、ライバル関係にあった企業を顧客として取り込み、事業の安定と収益の向上を図るもので、以下のような施策によって実現されました。

  1. 切断機に特化する方針転換
  • N社はロール成型機全体の製造から、競争力がある切断機の専門メーカーへと転換する方針をとりました。
  • 業界全体の切断機を供給することで、生産量を大幅に増やし、コスト削減が可能となりました。
  1. 業界全体をターゲットにした供給
  • ライバル企業も含めた業界全社にN社の切断機を供給することで、「敵」を「友」に変えるという構図が実現しました。
  • ライバルが切断機を自社生産するよりもN社の製品を採用する方がコスト面で有利になるため、他社もN社の製品を採用せざるを得ない状況が生まれました。
  1. 多業界への展開と収益の向上
  • 切断機の専門メーカーとしての地位が確立されると、他業界にも展開できる可能性が生まれ、事業の安定性が増しました。
  • この戦略によって、単に業界内での価格競争を避けるだけでなく、事業構造そのものがより高収益型へとシフトし、持続的な収益が得られる基盤が築かれました。

この事例は、ライバルを取り込み、長期的な収益と安定を目指す「戦略的な友好関係」の重要性を示しています。

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