目次
📜引用文(第七章 第三)
三*
心で過ちを犯さないように、まもり落ち着けよ。心について、慎んでおれ。
心による悪い行ないを捨てて、心によって善行を行なえ。
🔍逐語訳
- 心で過ちを犯さないように:怒りや嫉妬、貪欲などの悪念に支配されないように。
- まもり落ち着けよ:感情を乱さず、静かな心を保ち続けるように努めよ。
- 心について慎んでおれ:自分の内なる衝動や執着に対して気づきと制御を持て。
- 心による悪い行ない:妄想・悪意・傲慢・嫉妬・怠惰など、内面の悪しき思考や感情。
- 心によって善行を行なえ:思いやり、寛容、誠実、感謝、正念(気づき)を心の中に育むこと。
🧩用語解説
- 意業(いごう):仏教における三業の一つ。内面的な心の動きや思考・感情が生み出す行い。
- 悪念:他者を陥れたり、自己中心的な欲に基づく心の動き。
- 正念(しょうねん):心を今にとどめ、偏らず、善き意志と明晰さを保つこと。
- 慈悲・喜捨:仏教における四つの心の徳(四無量心)の一部。善き心が育てる人間性。
🧘♂️全体現代語訳(まとめ)
人の行いや言葉の根本には「心」がある。だからこそ、まずは心の内を整えることが、他のすべての善の出発点である。怒りや執着など悪しき心の動きを退け、思いやりや真心といった善なる意志を育みなさい、とこの教えは説く。
📖解釈と現代的意義
人間関係や社会問題の多くは、行動そのものよりも「動機」や「心構え」によって引き起こされます。どんなに丁寧な言葉や行為でも、心に怒り・見返り・打算があれば、相手には伝わってしまうものです。
この節は、「行為より先に、心を正す」ことを教えてくれます。逆に言えば、心が整えば、言葉も行動も自然と善に導かれるのです。現代の忙しさや競争の中でこそ、心の手入れが何よりも大切です。
💼ビジネスにおける応用
視点 | 適用例 |
---|---|
動機の純化 | 表面上のサービスよりも、相手の成功や幸せを本気で願う心が、信頼と成果を生む。 |
メンタルマネジメント | 焦りや怒りに支配されず、自分の心の状態に自覚的である人は、環境に左右されない安定感を持つ。 |
倫理と誠実さ | ルールや規則だけでなく、「人としての正しさ」に基づいた判断を下せる人が、長く信頼される。 |
チームビルディング | メンバーへの共感・信頼・尊重といった「心の在り方」が、協力関係を強め、組織の力を高める。 |
🧭心得まとめ(座右の銘風)
「心を育てれば、すべてが整う」
身体の行いも、言葉の響きも、すべては心から生まれる。
だからこそ、まずは心の声に耳を澄ませ、
清く穏やかに育てよう。
善き心は、善き行為を自然に導く光となる。
三つの教え(身・口・意)を通して、「どう生きるか」だけでなく「どう在るべきか」まで見つめ直す機会になります。
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