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引用原文(日本語訳)
彼は聴覚、視覚、触覚、味覚、嗅覚、及び思考器官に依存して、
諸々の対象を享受する。
(『バガヴァッド・ギーター』第15章 第9節)
逐語訳
彼(個我、ジーヴァ)は、
耳(聴覚)、目(視覚)、皮膚(触覚)、舌(味覚)、鼻(嗅覚)、
および思考器官(マナス、意)に依存して、
外界の対象を楽しみ・経験している。
用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
彼(個我) | 輪廻のなかを移動し続ける魂、ジーヴァ。 |
感覚器官 | 五感(耳・目・皮膚・舌・鼻)と、思考を司る第六の器官(マナス)。 |
対象を享受する | 感覚によって外界を味わい、快・不快を経験すること。経験世界の主観的現れ。 |
依存する | 感覚器官なしには世界を体験できないという構造。魂はそれらを通して作用する。 |
全体現代語訳(まとめ)
魂(ジーヴァ)は、五感と心という六つの器官を通して、
世界のあらゆる対象(音・色・手触り・味・香り・思念)を体験している。
私たちの「人生経験」は、これら感覚に依存して得られているということが、
この節の中心的な教えである。
解釈と現代的意義
この節は、「人間のすべての経験は、感覚と思考を通じて成立する」ということを明らかにしています。
つまり、世界の見え方や感じ方は“主体”ではなく、“感覚”と“思考”に大きく左右されているということです。
しかし、逆に言えば、感覚に支配されることで本質を見失う危険もある。
私たちは、感覚によって世界を体験できるが、
その感覚に翻弄されていては、自由な生き方や正しい判断は困難になります。
ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
客観性を失わない感覚管理 | 自分の好き・嫌い、快・不快、印象などに基づく短絡的な判断を避け、感覚に振り回されない意思決定を重視する。 |
経験の質を見極める | 表面的な刺激(派手なプレゼン・一時の成功)に惑わされず、その奥にある構造や本質を読み取るリテラシーを養う。 |
消費者理解に活かす | 感覚の作用によって顧客がどう受け取るかを理解することで、商品・ブランド体験をより深く設計することが可能になる。 |
感性と理性の統合 | データや分析とともに、五感や直感、思考をうまく使い分けることが、創造性と実効性を両立させる鍵となる。 |
心得まとめ
「感覚を用いて世界を知れ、されど感覚に飲まれるな」
人は、五感と心を通して世界を体験している。
だがその体験は、しばしば思い込みや一時的な印象に左右される。
ビジネスでも人生でも、感覚は重要な手段だが、
それに支配されずに扱う術を知ることで、
より自由で本質的な判断と行動が可能になる。
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