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■引用原文(日本語訳)
「知識、行為、及び行為者は、要素の区別に応じて〔それぞれ〕三種であると、要素の理論において説かれる。それらを正しく聞け。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第19節)
■逐語訳
知識(ジュニャーナ)、行為(カルマ)、そして行為者(カルター)は、
三つのグナ(性質)の違いに応じて、それぞれ三種類に分類される。
このことは、**グナの理論(サーンキヤ哲学)**において説明されている。
アルジュナよ、これからそれらを正しく聞きなさい。
■用語解説
- 知識(ジュニャーナ):物事の理解や認識のあり方。
- 行為(カルマ):実際の動作・実践・仕事。
- 行為者(カルター):行為を実行する人。
- 三グナ(トリ・グナ):
- サットヴァ(純質):清浄・調和・光明。
- ラジャス(激質):情熱・欲望・動揺。
- タマス(暗質):無知・怠惰・混乱。 - 要素の理論(グナ理論):宇宙と心のすべてが三つの性質(グナ)の組み合わせで成り立つという哲学的思想。
■全体の現代語訳(まとめ)
知識も、行為も、行為者も、それぞれの**内的性質(グナ)によって、三つに分類できる。
つまり、「正しい知識」や「正しい行動」「正しい実行者」とは、その人の心の質に左右されている。
これからクリシュナは、それぞれがサットヴァ(純質的)、ラジャス(激質的)、タマス(暗質的)**のいずれに属するかを解説しようとしている。
■解釈と現代的意義
この節は、行動を評価する際に単に「結果」や「効率性」だけで判断するのではなく、行動の背後にある動機・姿勢・認識の質まで含めて評価すべきだという視点を示しています。
同じ行動でも、**清らかな理解と動機(サットヴァ)**によるものと、**欲や混乱からくるもの(ラジャス・タマス)**では、魂に与える影響が全く異なるのです。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 実務での適用例 |
---|---|
知識の質 | 客観的・全体的・統合的な理解をもつ人(サットヴァ)は、適切な判断ができる。一方で断片的または偏った知識は誤解や対立を生む。 |
行為の質 | 義務感や善意に基づく行為(サットヴァ)は信頼を生むが、欲望(ラジャス)や怠惰(タマス)からの行為は問題を引き起こしやすい。 |
行為者の性質 | 自分の役割を冷静に誠実に果たす人物は組織を支える。一方、利己的・衝動的な行為者はチームを混乱させる。 |
■心得まとめ
「行動の質は、内なる性質によって決まる」
『ギーター』は語る。知識、行為、実行者――すべてが三つの性質(グナ)に染まっている。
だからこそ、行動を見るときには「何をしたか」だけでなく、「どういう心でそれをしたのか」を見極めよ。
そこに、本当の倫理と成長の鍵がある。
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