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■原文
純質的、激質的、暗質*的な状態は、まさに私から生ずると知れ。
しかし私はそれらの中にはなく、それらが私の中にある。
(第7章・第12節)
■書き下し文
純質・激質・暗質の状態は、まさに我より生ずると知れ。
されど我は、それらの中にはなく、それらは我の中にあり。
■現代語訳(逐語/一文ずつ)
- 純質的、激質的、暗質的な状態は、まさに私から生ずると知れ。
→ サットヴァ(純性)、ラジャス(激性)、タマス(暗性)という三つの性質は、私から生じるのだと知りなさい。 - しかし私はそれらの中にはなく、それらが私の中にある。
→ だが私はそれらに支配されることなく、むしろそれらは私のうちに含まれている。
■用語解説
- 純質(サットヴァ / sattva):純粋性・調和・明晰さ・知性を表す。
- 激質(ラジャス / rajas):情熱・活動・欲望・運動性を表す。
- 暗質(タマス / tamas):無知・惰性・混乱・停滞を表す。
- 三グナ(三性):サーンキヤ哲学における物質自然(プラクリティ)の基本構成要素で、万物を構成し影響を与える。
■全体の現代語訳(まとめ)
純質・激質・暗質という三つの性質はすべて私から発している。しかし私はそれらの性質に縛られているのではなく、むしろそれらが私の中にあるにすぎない。
■解釈と現代的意義
神(クリシュナ/至高実在)は、宇宙のすべての作用原理(性質)の源であるが、それに囚われない絶対的存在であることが語られている。人間はこれら三性に翻弄されやすいが、ヨーガの修練によってその支配を超えることが目指される。
■ビジネスにおける解釈と適用
- 行動特性の理解とマネジメント
→ 組織や個人の「行動パターン(三性)」を理解し、調和(サットヴァ)を増やすことで健全な経営ができる。 - リーダーは性質に支配されない存在へ
→ 情熱(ラジャス)や混乱(タマス)に流されず、性質を見極めて制御することが、優れたマネジメントに通じる。 - 内発的リーダーシップ
→ 自分自身の中の「純・激・暗」のバランスに気づき、状況に応じて意識的に調整できることが、真の主導者の条件である。
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