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真理を否定する思考は、破壊の始まりである

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■引用原文(日本語訳)

彼らは言う。
「世界は不真実であり、根底がなく、主宰神もない。相互関係によって生じないものが別にあるはずはない。だからそれは欲望を原因とする。」
(『バガヴァッド・ギーター』第16章 第8節)

■逐語訳(一文ずつ)

  • 阿修羅的な性質を持つ人々は、こう主張する:
  • 「この世界には真理がなく、道徳的な基盤も存在しない。
  • 神もおらず、宇宙の背後にある秩序もない。
  • すべては、単なる相互作用と欲望によって生じた偶然の産物である。」
  • つまり、世界は欲望の結果として偶発的に存在しているにすぎないという考えである。

■用語解説

  • 不真実(アサティヤ):存在に本質的な意味や真理がないとする見方。
  • 根底がない(アプラティシュタ):倫理・秩序・神の存在といった根拠を否定すること。
  • 主宰神(イーシュヴァラ):宇宙の背後にある存在・意志・法則。
  • 欲望を原因とする(カーマ・ヘートゥカ):万物は欲望という動因から偶発的に発生したとする唯物的見解。

■全体の現代語訳(まとめ)

阿修羅的性質を持つ者は、「世界には真実も秩序もなく、神もいない」と主張する。彼らはすべての存在を、倫理や神聖さとは無関係の、欲望の偶発的な産物として捉える。このような世界観は、責任や道徳の根拠を否定し、自らの行動を正当化するために使われる。

■解釈と現代的意義

この節は、道徳相対主義・ニヒリズム・利己的唯物論への明確な警鐘である。

「この世に真理はない」「倫理は幻想」「すべては欲望の結果」と考える思想は、社会的規範を軽視し、自制心を失わせる。

ギーターは、倫理・責任・信仰なき人生の危うさを指摘している。

■ビジネスにおける解釈と適用

観点危機と教訓
倫理観の崩壊「バレなければいい」「ルールは形だけ」とする価値観は、不正や腐敗を生む土壌になる。
企業理念の喪失「儲かれば何でもよい」という価値観は、信頼・永続性を破壊する。
唯物主義的マネジメント人間の尊厳や成長ではなく、「結果・数字・利益」だけに焦点を当てる経営は、組織を荒廃させる。
建設的対話の不在「正しさなど存在しない」という態度は、合意形成や組織文化の共有を困難にする。

■心得まとめ

「真理を否定する言葉は、破壊の前兆である」

この世界に意味はないと考える者は、いずれ自分の行為に責任を持たなくなる。
ギーターは告げる――真理・秩序・倫理・神聖な意志を否定したとき、人は最も深い闇へと落ちる
だからこそ、私たちは自らの行為に「正しさ」の基盤を求め続けなければならない。

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