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語る少なくとも、清らかに生きる者こそ真の行者


■ 引用原文(日本語訳)

たといためになることを少ししか語らないにしても、
理法にしたがって実践し、情欲と怒りと迷妄とを捨てたならば、
その人は、修行者の部類に入る。

――『ダンマパダ』第四章「はげみ」第23節


■ 逐語訳(一文ずつ現代語訳)

  1. たとえ人々のためになることを少ししか語らなくても、
     知識や説法が多くなくとも、
  2. 真理の法(ダルマ)に従って実際に行動し、
     言葉ではなく日々の行いが正しく、法に沿って生きているならば、
  3. 情欲(貪欲)、怒り(瞋)、迷妄(無知)を克服し、
     心の三毒を捨てて内面的に清らかであるならば、
  4. その人こそが、真の修行者にふさわしい。

■ 用語解説

用語解説
ためになること(ヒタ・バーニー)人を導く教え。真理に基づいた有益な言葉。
理法(ダルマ)仏教の法則・道理・倫理的な生き方。真理に沿った行い。
情欲(ラーカ)物欲・性欲などの執着心。
怒り(ドーサ)瞋恚。対立や不満に由来する心の反応。
迷妄(モーハ)無明。物事の本質が見えず、迷っている状態。

■ 全体の現代語訳(まとめ)

たとえ多くを語らなくても、
日々を真理にかなった行動で生き、
欲望・怒り・迷いを克服しているなら、
その人こそが、名実ともに「修行者(仏道実践者)」と呼ぶにふさわしい。
言葉の多寡よりも、心の清らかさと生き様こそが本質である。


■ 解釈と現代的意義

この節は、**「沈黙と実践こそ、真の証明である」という仏教の核心的な思想を説いています。
知識や発言の多さはあくまで一側面にすぎず、
もっとも重視されるべきは、その人が
「どう生きているか」**です。
現代社会においても、声が大きい人、情報発信の巧みな人が目立ちがちですが、
それ以上に重要なのは、静かに確実に徳を積む人の存在です。


■ ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
地味な実行力の評価目立たなくても誠実に行動し続ける人が、長期的には組織の柱となる。
内面の成熟怒りや欲に左右されず、冷静かつ一貫した態度を保てる人は、あらゆる場で信頼される。
少言実行の力多くを語らずとも、行動と態度で理念を体現する人には、深い説得力がある。
自己管理と影響力煩悩のコントロールができる人は、チーム全体にも安心と秩序をもたらす。

■ 心得まとめ

「語ること少なくとも、清き生き方が人を導く」

派手な言葉や知識よりも、
日々の静かな実践と内面の清らかさ――
それが、人の信頼を集め、周囲を照らす灯となる。
真の修行者、真のビジネスパーソンとは、
見えぬところで己を磨き、徳で世界に貢献する者である。


第四章「はげみ」の締めくくりにふさわしい節でした。

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