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執着を手放す者こそ、真の自由を得る


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■引用原文(日本語訳)

憎むことなく、期待することない人は、常に放擲した者*と知らるべきである。実に、相対を離れた人は、容易に束縛から解放される。
(第5章 第3節)
*放擲(ほうてき):行為や結果への執着を手放した人。


■逐語訳

何ものも憎まず、また何ものにも期待しない者は、常に「行為を放擲した者(サンニャーシン)」と見なされる。そのような人は、対立するもの(善悪・損得など)の執着から離れているので、束縛から容易に解き放たれる。


■用語解説

  • 放擲した者(サンニャーシン):見た目や行動の上で何かを放棄した者ではなく、内面的に執着を手放した者。
  • 憎まない/期待しない:物事に対する嫌悪や執着を持たないこと。心の中に波風が立たない状態。
  • 相対(ドヴァンダ):喜びと悲しみ、得と損、美と醜など、二元的な対立。
  • 束縛(バンダ):カルマ(行為)の結果に対する執着から生じる心の不自由さ。

■全体の現代語訳(まとめ)

何かを嫌ったり、何かを強く求めたりすることのない人こそが、本当の意味で「放擲した者」と言える。そのような人は、対立や偏りから自由であるため、心の束縛から容易に解放されるのだ。


■解釈と現代的意義

この節は、「本当の放擲とは、行為そのものではなく、感情や執着の放棄である」と教えています。現代社会では、「あれが嫌」「これが欲しい」と、絶えず評価や感情で物事を見がちです。しかし、真の自由とは、それらの感情に支配されず、心を平穏に保てる境地にあります。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
感情のコントロール部下のミスや取引先との不和に対して「憎しみ」を持たず、冷静な判断を保つ。
成果への執着からの脱却過剰な期待や「こうあるべき」という執着を手放すことで、自然体で仕事に取り組むことができる。
意思決定利害や感情にとらわれず、全体の利益を見て公平に判断できる。
人間関係の成熟人を「好き/嫌い」で判断するのではなく、その役割や本質を見る姿勢が信頼を育む。

■心得まとめ

「欲せず、憎まず――その心が自由をもたらす」
行動をやめることが放棄ではない。憎しみや執着を手放し、偏りのない心で生きる者こそ、真に自由な存在である。ビジネスにおいても、過度な感情やこだわりを脱し、広い視野で判断を下せる人が、最も柔軟で強い力を持つのです。


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