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感情に染まらず、心に愛を宿す者こそ、真に美しい

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■引用原文(日本語訳)

「喜ばず、憎まず、悲しまず、望まず、好悪を捨て、信愛を抱く人、彼は私にとって愛しい。」
(『バガヴァッド・ギーター』第12章 第17節)

■逐語訳

喜びにも(アナンド)、
憎しみにも(ドヴェーシャ)、
悲しみにも(ショーカ)、
欲望にも(アシュ)、
執着せず、
好悪(二元的な価値判断)を捨て(スルク・ドゥクケ・ティヤーク)、
なお私(神)に対する信愛(バクティ)を抱く人は、
私にとって愛しい(サ・メ・プラーヤハ)。

■用語解説

  • 喜ばず(ナ・アナンダ)/悲しまず(ナ・ショーカ):喜び・悲しみといった感情に過度に傾かず、心を保つこと。
  • 憎まず(ナ・ドヴェーシャ):他者や状況への敵意・嫌悪を持たない。
  • 望まず(ナ・アーシャ):執着心・欲求を手放し、無欲に生きること。
  • 好悪を捨て(スルク・ドゥッカ・ティヤーギー):快楽と苦痛、好きと嫌いといった相対的判断を超越した境地。
  • 信愛(バクティ):神や真理に対する深い愛と信頼。執着を超えた誠実な心のあり方。
  • 私にとって愛しい(サ・メ・プラーヤハ):神(クリシュナ)が霊的に高く評価し、深く愛する存在であるという意味。

■全体の現代語訳(まとめ)

喜び・憎しみ・悲しみ・欲望といった感情に振り回されることなく、好き嫌いの判断をも超えて、なお神への信愛を保つ人――そのような人物こそ、私にとって愛しい存在である。

■解釈と現代的意義

この節では、感情や好悪という心の揺らぎを超越しつつも、なお深い愛を持ち続ける人物が描かれます。
冷静でありながら、温かい心を失わない人」――それが本節で理想とされる人格です。

人間として自然に湧く喜怒哀楽を否定しているのではなく、それらに執着せず・判断されず・影響されすぎないという精神的な成熟が求められているのです。
そして、その静けさの中に「信愛」という、根底から人を支える強い感情があること――それがこの節の核心です。

■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
冷静沈着なリーダー周囲が浮足立ったり動揺したりしても、喜怒哀楽に流されず、落ち着いて判断できる人は信頼される。
感情的リアクションを超えた愛好きな人にだけ親切にし、嫌いな人には冷たくするのではなく、常に誠実・公平でいられる人が、組織の精神的支柱となる。
ストレス耐性と内的安定感情に揺れすぎず、静かな信念と目的意識を持って働く人が、継続的に結果を出し、他者に影響を与える。

■心得まとめ

「感情を超え、信愛に生きる者は、美しい」
喜びや悲しみ、愛憎や欲望――それらが人間を形作る。
だが、それに支配されず、静けさの中に深い愛を宿し、誠実に生きる者こそ、神にも、人にも、愛される。
現代社会においても、穏やかさと情熱を両立できる人こそが、真に強く、真に美しい存在である。

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