目次
■引用原文(日本語訳)
それを得れば、他の利得を劣るものと考え、
そこに止まれば、大きな苦しみによっても動揺させられることがない。
―『バガヴァッド・ギーター』第6章 第22節
■逐語訳(一文ずつ)
- それ(=先の節の「窮極の幸福」)を得れば、
- 他のどんな利得も、それより劣っていると自然に思われる。
- そして、その幸福にとどまるならば、
- どんな大きな苦しみがあっても、その人の心を揺るがすことはできない。
■用語解説
- それを得れば:「それ」とは、前節の「感官を超えた知性によって知られる窮極の幸福(アートマーナンダ)」のこと。
- 他の利得(ラーバ):世俗的な利益、金銭・地位・成功・称賛など。
- 劣るものと考え(ヒーナタルム):真の幸福に比べれば、それらは取るに足らないと自然に感じること。
- 大きな苦しみ(マハート・ドゥッカム):病・損失・非難・挫折など、人生における重大な逆境や試練。
- 動揺させられない(ナ・ヴィカルヤテ):内面が乱されず、平静を保てる状態。
■全体の現代語訳(まとめ)
感官を超えた真の幸福を体得した人にとって、
世俗の利益はもはや取るに足らないものに思える。
その幸福の中にとどまる限り、たとえ人生に大きな苦しみがあっても、
その人の心は揺らぐことはない。
■解釈と現代的意義
この節は「本質的な幸福を知ると、外的な評価や損得が影響を持たなくなる」という教えです。
私たちは多くの場合、利益や成功のために心を揺らし、苦しみに翻弄されがちですが、
それらが“最も大事なもの”ではないと理解できた時、人生が大きく変わります。
この智慧は、精神的自立・平静の基盤であり、現代社会の不確実さを生き抜くための確かな軸になります。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 解釈と適用例 |
---|---|
価値観の明確化 | 短期的な収益や数字だけでなく、「何のために働くか」という深い目的を持つことで、揺らがない。 |
レジリエンス | 解雇、業績悪化、評価の低下といった困難にも、動揺せず行動できる。 |
リーダーシップ | 利益より信念を優先し、状況に応じてブレない判断を下せる指導者が信頼を集める。 |
成功と満足の違い | 外部的成功にとらわれず、内なる満足・意義・貢献に価値を置けることが、持続的な幸福をもたらす。 |
■心得まとめ
「外の利得に惑わされず、内なる満足にとどまれ」
真の幸福を知った者は、もはや世俗的な利得に翻弄されない。
その境地にとどまれば、たとえ困難や苦しみが襲ってきても、
心は揺らがず、静かに自らの道を歩むことができる。
これは現代のビジネスにおいても、
動機が「金」や「称賛」だけではない者こそ、最後に最も強く、信頼される存在となるということを教えてくれます。
コメント