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正しく語らぬ者に、福は訪れぬ


■ 引用原文(『ダンマパダ』第八章「ことば」第三偈)

毀るべき人々を誉め、また誉むべき人々を毀る者、
かれは口によって悪運をかさね、
その悪運のゆえに幸せを受けることができない。


■ 逐語訳

  • 毀るべき人々を誉め:非道な行為をなしたり、徳に欠ける人を誤って賞賛すること。
  • 誉むべき人々を毀る:善行を重ね、徳のある人物を誹謗・非難すること。
  • かれは口によって悪運をかさね:誤った言葉によって、悪い因果(業)を自らに積み重ねる。
  • 幸せを受けることができない:結果として、幸福や善果を得る機会を逃す。

■ 用語解説

  • 毀る(そしる):非難し、価値をおとしめること。仏教における「悪口(あっく)」の一形態。
  • 誉める:称賛する。人徳や善行に対して本来向けられるべき言葉。
  • 悪運をかさねる:誤った言葉が原因で、自らの因縁が悪化していくこと。
  • 幸せ(スカ):仏教でいう福徳・善果・心の安穏など、善因から生まれるよき報い。

■ 全体の現代語訳(まとめ)

本来ならば批判されるべき人を賞賛し、賞賛されるべき人を批判する者は、その言葉によって自ら悪い因縁を積み、自らの幸福を遠ざけることになる。言葉による不正義は、結果として自分の運命を暗くするという警句である。


■ 解釈と現代的意義

この偈は、「評価と発言の倫理」を鋭く問いかけています。現代社会では、利害関係や感情、無知によって、功ある者が不当に罵られ、逆に不義を働く者が賞賛される場面も少なくありません。
しかし仏陀は明言します――「言葉の不正義」は決して無害ではなく、それは自らの人生の運命をも損なう悪因をつくるのだと。

真に幸福を得たいならば、自らの口が「正しいこと」「善いもの」「徳のある人」に対して誠実に反応しているか、常に省みる必要があるのです。


■ ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
評価と人事私情や社内政治により、不誠実な人物を評価し、誠実に尽くす社員を評価しないなら、組織文化は歪み、信頼は失われる。
発言の影響リーダーや上司が、不正を容認したり、不当な批判を繰り返せば、部下の士気が下がり、離反が生まれる。
ブランドと社会的信用社外に向けて誤ったメッセージを発すれば、顧客や世論からの信頼を失い、企業としての福(評判・利益)も損なわれる。
個人の成長表面だけで判断し、間違った称賛や批判を繰り返す人は、最終的に周囲からの信頼をなくし、孤立する。

■ 心得まとめ

「正しき者を讃えよ。不義に与する口は、己を滅ぼす」

この偈は、言葉における“正義”の必要性を示しています。
評価を誤れば、人を傷つけるだけでなく、自らの人格や信用、さらには運命さえも損なう――その因果の原則を忘れてはならないのです。
ビジネスにおいても、誰を賞賛し、誰を戒めるかという判断は、個人や組織の未来を大きく左右します。
私心なく、真実と徳に基づいて語る姿勢こそが、信頼と成功を呼び込む鍵です。

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