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■引用原文(日本語訳)
阿修羅的な人は、〔正しい〕活動とその停止を知らない。彼らには、清浄さも、正しい行動様式も、真実も存在しない。
(『バガヴァッド・ギーター』第16章 第7節)
■逐語訳(一文ずつ)
- 阿修羅的な性質を持つ者たちは、
- 何が正しい行動か(カルマ)と、何をやめるべきか(アカルマ)を理解していない。
- 彼らには、**清浄さ(シュッチ)**も、
- **正しい行動様式(アーチャーラ)**も、
- **真実(サティヤ)**も、存在しない。
■用語解説
- 活動とその停止(カルマとアカルマ):何をすべきか、何を控えるべきかという行動原理の理解。
- 清浄さ(シュッチ):身体・言葉・心の清らかさ、清潔さ、誠実さ。
- 正しい行動様式(アーチャーラ):社会的・道徳的慣習に基づくふるまい、倫理にかなった行動。
- 真実(サティヤ):事実を誠実に語ること、自己欺瞞をしない心の透明さ。
■全体の現代語訳(まとめ)
阿修羅的な資質を持つ者は、自らの行為の是非を正しく見極める力を持たない。そのため、何が正しく、何が誤りかを理解せずに生きている。彼らには心の清らかさ、正しい習慣、誠実さといった徳性が欠けていると、クリシュナは警告している。
■解釈と現代的意義
この節は、「判断力と倫理観の欠如」が阿修羅性の核心であることを明らかにする。現代においても、真理を求めず、ただ欲望や感情のままに行動する者は、やがて混乱を生み、破滅を招く。行為の是非を判断する基準(真理・清浄・倫理)を失えば、人も社会も迷走する。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | ビジネスへの応用 |
---|---|
意思決定の誤り | 原理原則を知らず、短期的な欲望に従って動くと、企業倫理を損ない、長期的損失を生む。 |
組織の堕落 | 不正・ごまかし・信頼欠如は、「何が正しく何が誤りか」の感覚が失われた結果として現れる。 |
倫理教育の必要性 | 若手育成・リーダー層の継続教育において、「行為の原理」や「善悪判断の軸」を明確に示す必要がある。 |
持続可能な行動 | 本当にすべきことと、避けるべきことを見極める力こそが、継続可能な経営と信頼を築く。 |
■心得まとめ
「原理を知らぬ者は、行動を誤る」
行為には「何をすべきか」「何をしてはならないか」がある。
だが、真理を見ず、清浄さを忘れ、誠実さを捨てた者は、それを判断する力を失っていく。
ギーターは私たちに警告する――知識なき行動は、自由ではなく、混乱と束縛を招くのだと。
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