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欲と慢心に支配されし者は、自らを破滅に導く

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■引用原文(日本語訳)

彼らは満たし難い欲望にふけり、偽善と慢心と酔いに満ち、迷妄のために誤った見解に固執し、不浄の信条を抱いて行動する。
(『バガヴァッド・ギーター』第16章 第10節)

■逐語訳(一文ずつ)

  • 彼ら(阿修羅的な者たち)は、
  • **満たしがたい欲望(アシャ・プーラ)**に耽り、
  • **偽善(ダンバ)、慢心(マダ)、傲慢(マーナ)**に満ちている。
  • そして迷妄(モーハ)によって真理を見失い、
  • **誤った見解(アサティヤ・ドリシュティ)**に固執し、
  • 不浄(アシュウチ)な信条を持って行動する。

■用語解説

  • 欲望(アシャ):終わりのない執着と欲求、決して満たされることのない内的渇望。
  • 偽善(ダンバ):見かけを繕い、内面と外面が一致しない欺瞞的態度。
  • 慢心(マダ)・傲慢(マーナ):自惚れ・誇示・優越感による自我の肥大。
  • 迷妄(モーハ):真理に目を閉ざし、誤った価値観にとらわれる状態。
  • 誤った見解(アサティヤ・ドリシュティ):真実ではない思想・信念。
  • 不浄の信条(アシュウチ・ヴラタ):魂を高めるどころか堕落させるような価値観や誓い。

■全体の現代語訳(まとめ)

阿修羅的な人間は、果てしない欲望に取り憑かれ、偽りの仮面と傲慢な態度に満ちている。

真実を見失いながらも、自らの誤った考えに固執し、不道徳な信念のもとに行動している――とバガヴァーン・クリシュナは語る。

■解釈と現代的意義

この節は、「破滅的な人格」の構造を鋭く描いている。
欲望が際限を失い、それを隠すために偽善に走り、成功や力に酔って慢心し、結果として誤った思想に固執する。そしてその思想のもとに、さらに有害な行動を繰り返す。この連鎖こそが、個人や組織、ひいては社会全体の崩壊をもたらす根本原因であるとギーターは警告する。

■ビジネスにおける解釈と適用

観点ビジネスへの警鐘と示唆
欲望と限界の喪失利益至上主義に陥ると「もっと」「まだ足りない」と欲望が膨らみ、倫理や持続性を無視するようになる。
ブランディングの偽善見た目やスローガンでは「誠実・SDGs」などを掲げながら、実態は搾取や誇大広告、という欺瞞的経営に陥る。
リーダーの慢心成果を上げるリーダーほど「自分が正しい」と思い込み、組織の声に耳を貸さなくなる危険がある。
誤った理念の拡大「勝てば何でもよい」「正直者が損をする」などの不浄な信条が組織に蔓延すると、社員の誠実さは破壊される。

■心得まとめ

「欲と傲慢が誤った信念を育て、破滅を導く」

止まることを知らない欲望は、偽りと自惚れを生み、
それはやがて真理を否定し、破滅的行動へとつながる。
ギーターは告げる――内面の欲望と慢心に無自覚な者は、やがて自分自身と世界を損なう
だからこそ、常に自らを省みる智慧と、真理への謙虚な探求が必要である。

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