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■引用原文(日本語訳)
この世界には二種の万物創造がある。すなわち、神的なものと阿修羅的なものである。神的なものはすでに詳しく説かれた。アルジュナよ、阿修羅的なものを私から聞け。
(『バガヴァッド・ギーター』第16章 第6節)
■逐語訳(一文ずつ)
- この世界には、二つの種類の存在が創造されている。
- すなわち、「神的なもの(ダイヴィ・サンパット)」と「阿修羅的なもの(アースリ・サンパット)」である。
- 神的な性質については、すでに詳しく語られてきた。
- アルジュナよ、今はこれから「阿修羅的性質」について、私(バガヴァーン)から聞くがよい。
■用語解説
- 二種の創造(ドヴィ・サルガウ):人間の性質の根源的な二分。善性と悪性、光と闇の象徴。
- 神的なもの(ダイヴィ・サンパット):前節までで語られた、魂を高め、解放へ導く資質群。
- 阿修羅的なもの(アースリ・サンパット):魂を束縛し、混乱と苦悩をもたらす性質群。
■全体の現代語訳(まとめ)
この世界には、生まれながらにして「神的な性質」を持つ者と、「阿修羅的な性質」を持つ者という二種のタイプが存在する。
前者は光と解放の道を歩み、後者は混乱と束縛の道を進む。ここでクリシュナは、アルジュナに対し、「これから後者の性質について詳しく説明する」と語りかける。
■解釈と現代的意義
この節は、人間の本性が根本的に二方向に分かれうるという世界観を示している。ここでの分別は、「選ばれた存在か否か」ではなく、日々の選択と行動によって自らがどちらの道を選ぶかという倫理的警鐘でもある。クリシュナは、無知からの目覚めと自覚を促している。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | ビジネスへの応用 |
---|---|
倫理判断の軸 | どのような方針や言動も、「人を導くか、破壊するか」という視点で常に内省すべきである。 |
経営理念の設計 | 企業の価値観も、「神的(信頼・誠実・貢献)」か「阿修羅的(欺瞞・傲慢・強欲)」かで明確に分かれる。 |
人材育成 | 「どの方向に自分が育っているか」を自覚できるよう、社員に哲学的指針を与えるリーダーシップが求められる。 |
文化形成 | 組織の文化は、神的な資質(共感・成長・倫理)を土台にすれば持続性が高まる。 |
■心得まとめ
「どちらの道を選ぶかは、自らにかかっている」
人は生まれながらにして、神的な可能性と阿修羅的な傾向の両方を持ちうる。
大切なのは、「どちらの性質を育てるか」「どちらの側に身を置くか」を見極める目と、意志の力である。
選び取った道こそが、やがてその人の運命となる。
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