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■引用原文(日本語訳)
「苦行(功徳)を積まぬ者、信愛のない者、反抗的な者、また私を妬む者には、決してこれを告げてはいけない。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第67節)
■逐語訳
- 「この教え(イダム・テー)を、
- 苦行を積まぬ者(アタパス)にも、
- 信愛なき者(アバクタ)にも、
- 不服従な者(アシュルシュルーシュヴェー)にも、
- また私を妬む者(ヤー・マーム・ドヴェーシー)にも、
- 決して語ってはならない(ナ・チャ・マーム・ヨーシャヤ)」。
■用語解説
- 苦行を積まぬ者(アタパス):心身の浄化に努めず、自己修練を怠る人。
- 信愛のない者(アバクタ):真理への尊敬や神への愛を持たない人。
- 反抗的な者(アシュルシュルーシュヴェー):耳を傾けず、教えを拒否し、従わない態度の人。
- 妬む者(ドヴェーシー):神や真理を妬み、否定しようとする内心の敵意を持つ人。
- 告げてはいけない(ナ・アヌシュチャヤ):伝えるべきでない対象を見極めよ、という厳格な判断。
■全体の現代語訳(まとめ)
「この最高の教えは、心が未熟であったり、信愛を持たない者、耳を貸そうとしない者、
さらには真理や神を妬むような者には、決して語ってはならない。」
■解釈と現代的意義
この節は、「知を授けるにふさわしい人を選ぶべきである」という教訓を語ります。
ギーターが説くのは普遍的な真理ですが、それを誰にでも同じように与えるのではなく、
受け入れる器のある人にのみ伝えるべきだと明言しているのです。
この態度は、慈悲のない排他性ではなく、真理に対する厳粛な敬意の表れです。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 実務での適用例 |
---|---|
リーダーシップと伝承 | ノウハウや理念を教える際、まず相手の姿勢や誠意を見極める。信頼と努力のある人に、真に価値あることを託す。 |
人材育成と教育 | 「教える側の熱意」だけでは伝わらない。学ぶ側の「素直さ」「敬意」「努力」が整ってこそ、本質的な成長が起きる。 |
顧客との関係 | 価値を理解しようとせず、反発ばかりの相手に深い提案をしても実らない。相互の尊重と信頼がなければ、真価は伝わらない。 |
情報公開と戦略 | すべての情報や戦略を無差別に公開せず、「準備が整った人」や「責任ある人」にのみ開示・託すのが成熟した経営。 |
■心得まとめ
「真理は、受け入れる器にのみ届く」
ギーターは語る――
「心を清め、信愛を持ち、耳を傾けようとする者にこそ、
この最高の教えを語りなさい。
それが真理への敬意であり、
教える者の責任である。」
この節は、慈悲と厳しさを併せ持つ、導く者の姿勢を明確に示しています。
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