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心の働きすら静まりし時、真の安らぎは訪れる


目次

📜引用原文(日本語訳)

二一*
仏の教えを喜び、慈しみに住する修行僧は、
動く形成作用の静まった、安楽なる、静けさの境地に到達するであろう。
― 『ダンマパダ』 第二章 第二一偈


🔍逐語訳(文ごとの意訳)

  • 仏の教えを喜び:仏法(ダンマ)に触れることを心の喜びとし、日々その真理とともに歩む者。
  • 慈しみに住する修行僧は:生きとし生けるものすべてに優しく接し、他を傷つけぬ思いやりの心に根ざして生きる者は、
  • 動く形成作用の静まった:心の活動(思考・欲望・反応)=形成作用(サンカーラ)が止まった状態。煩悩・条件反射が消えた境地。
  • 安楽なる、静けさの境地に到達するであろう:苦や不安のない、深い精神的安らぎ(=涅槃)に至るであろう。

📚用語解説

用語解説
形成作用(サンカーラ)心の中で起こる様々な思考・感情・意思・衝動。縁起の一要素であり、輪廻の根本要因。
静まる単に落ち着くという意味ではなく、根源的な働き(執着・煩悩)そのものが完全に鎮まること。
安楽なる静けさの境地苦悩が完全に滅し、心が清く静まりきった状態。涅槃(ニルヴァーナ)と同義。

🪞全体の現代語訳(まとめ)

仏の教えに心から喜びを感じ、すべての命に慈しみを持って生きる修行者は、
やがて思考や感情の波さえも止まり、煩悩が消え、
深い安らぎと静けさに満ちた境地へと到達することになる。
それは、外的条件に左右されない、完全な自由と平安の状態である。


🧠解釈と現代的意義

この偈は、思考や感情といった“心の働き”そのものが苦の根源であるという仏教の核心を示しています。
多くの人が「考えることで解決しよう」としますが、実際には思考の連鎖や感情の揺れ自体が不安や疲労の原因でもあります。

だからこそ、仏教は「慈しみ」を基盤にしながら、“考えることを超えた沈黙”の境地へと導こうとするのです。
この偈は、「最終的な安らぎとは、静けさそのものである」という、現代人にとって逆説的な真理を示しています。


💼ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
マインドフルネスと集中外部の刺激に対する自動反応(形成作用)を抑える習慣が、深い集中力と安定感をもたらす。
反応しない力=リーダーの安定感不要な判断や感情反応を減らすことで、組織に静けさと信頼をもたらす。
内的な静けさが生産性を上げる頭の中のノイズを鎮めることが、複雑な課題への冷静な対処を可能にする。
慈しみをベースとした企業文化利益より人を思う姿勢が、結果としてより安定した長期的成長を生む。

✅心得まとめ

「考えも欲も鎮まりしとき、静けさはすべてを満たす」

仏法に心を寄せ、すべての命に優しさをもって接する者は、
やがて、思考すら要らぬほどの静けさに包まれる。
そこには「足る」「争わぬ」「とらわれぬ」――本当の自由と喜びがある。


この偈は、静けさの極致としての「涅槃」を象徴的に描く、非常に深い教えです。

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