■ 引用原文(日本語訳)
なすべきことに努めはげむことを賢者はつねにほめたたえる。
つとめはげむ賢い人は、(次に挙げる)二つのことがらを極めてよく把捉している。
――『ダンマパダ』第四章「はげみ」第25節
■ 逐語訳(一文ずつ現代語訳)
- なすべきことに対して努力を惜しまない姿勢を、
目の前の「やるべきこと」に誠実に取り組むことを、 - 賢者(智慧ある者)は常に賞賛する。
単なる言葉や理想でなく、実際の行いこそが尊ばれる。 - そして、そうした努力家で賢明な人は、
努力と知性の双方を備える人は、 - 重要な二つのことをしっかりと理解し、実践している。
※文脈的に、この「二つのことがら」は続く第二十六節に登場します。
■ 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
なすべきこと(カリヤ) | 義務・責任・使命。仏教では正しい行為・実践。 |
努めはげむ(ヴィーリヤ) | 精進・持続的努力。仏教の修行実践の基本。 |
賢者(パンディタ) | 真理に通じ、倫理的にも優れた人格者。 |
二つのことがら | この節だけでは明示されていないが、次節(26節)で明らかになる。多くの解釈では「世俗の義務と精神的修行」など。 |
■ 全体の現代語訳(まとめ)
目の前のなすべきことに精進している人――
その姿勢は、いつの時代も賢者たちに称賛される。
そして、そのように努めはげむ人は、人生や修行における
「二つの本質的なテーマ(世俗と精神/行動と真理)」を深く理解し、
それを見失うことなく、実践し続けているのである。
■ 解釈と現代的意義
この節は、**「行動において真価が問われる」**という価値観と、
**「賢者の基準は努力とバランスである」**という教えを内包しています。
ただ勤勉なだけでも、ただ賢いだけでも不十分。
真に尊ばれるのは、「なすべきこと」を正しく見極めて、それに誠実に向き合う者です。
そのような人は、現実と理想、行動と内省、社会と自己といった両面をしっかり把握し、
偏りなく歩む力を持っています。
■ ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
バランス感覚と実行力 | 戦略(考える)と実行(やる)の両立ができる人は、上司・部下の両方から信頼される。 |
本質を見極める力 | 「今、自分が本当にやるべきこと」を見失わずに取り組む力が、成果を生む。 |
評価される資質 | 実際に努力し行動している人が、どんな組織でも最も長く評価される。 |
継続的学習者 | 成長し続ける人は、現実と理想の「二つの視点」を意識しながら働いている。 |
■ 心得まとめ
「真に賢き者は、なすべきを知り、迷わず行う」
努力とは、量よりも方向の正しさが重要である。
何をするかを見極め、それに向かって着実に進む――
この生き方が、仏教においても、ビジネスにおいても、
**「賢者がほめたたえる歩み」**なのです。
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