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■引用原文(日本語訳)
プラクリティは、私を監督官として、
動不動の万物を生み出す。
この故に、世界は開展するのである。
(『バガヴァッド・ギーター』第9章 第10節)
■逐語訳(一文ずつ訳す)
- プラクリティ(自然・根本原質)は、
- 私(バガヴァーン)を監督官(観照者)として働き、
- 動くもの(生き物)と動かぬもの(物質・自然)を生み出す。
- このために、この世界(宇宙・人生・現象界)は展開(開展)していくのである。
■用語解説
- プラクリティ(Prakṛti):宇宙を構成する根本的な自然原理。三つのグナ(性質)から成り、すべての現象の原因となる。
- 監督官(ウパドラーシュタ/観照者):直接関与せずとも、全体を見守り、背後で作用を導く存在。
- 動(チャラ)と不動(アチャラ):動くもの(生命・心・流動的現象)と、動かぬもの(物質・構造・大地など)。
- 開展(サンブハヴァンティ):発展・展開・変化し続ける世界の動き。
■全体の現代語訳(まとめ)
自然界(プラクリティ)は、私(神)を観察者・監督者としてその働きを続け、
生きとし生けるもの、そして物質的世界を創造する。
こうしてこの世界は、絶え間ない変化と展開を続けているのである。
■解釈と現代的意義
この節は、「神は直接的に操作するのではなく、見守る存在として自然の働きを導いている」ことを教えています。
つまり、真の力とは「動かしながらも一歩引いて見守る姿勢」であり、過干渉せずとも展開を導く知性です。
これは、組織づくり、教育、リーダーシップ、創造的マネジメントにおいて重要な視点です。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
リーダーシップの在り方 | 全てを直接操作せず、信頼しつつも見守ることで、人と組織は自然に育ち展開する。 |
見えない支配力 | 強制や介入でなく、「観照と方針」によって全体を支える力が真の統治力である。 |
持続的成長の仕組み | システムや人材育成を整備し、「自律的に動く組織」を育てることで、事業は自然に展開していく。 |
■心得まとめ
「見守り、信じ、仕組みによって世界は動く」
神は、自ら直接介入せずとも、自然の力(プラクリティ)を通して万物を生み出し、展開を見守っている。
ビジネスや人間関係においても、過干渉ではなく、信頼と設計によって動く仕組みを築くことが、持続可能な発展の鍵である。
真のリーダーは「監督官」であり、「操作者」ではない。
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