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📖原文(日本語訳)
「われはベナレスに行くであろう。われは不死の鼓を打つであろう。世間においてまだ回転されたことのない、法輪を、われは回転するであろう。」
— 『ダンマパダ』第21章「如来」第6節
🔍逐語訳・用語解説
語句 | 解説 |
---|---|
ベナレス | サールナート(鹿野苑)を含む、仏陀が初転法輪を行った聖地。現インド・ヴァーラーナシー。 |
不死の鼓 | 涅槃(=不死)の真理を人々に知らせる象徴的表現。 |
法輪(ダンマチャッカ) | 仏陀の教え(ダンマ)を象徴する車輪。教えを説くこと=法輪を回すこと。 |
法輪を回転する | 仏法を説いて、真理を世に広め始めること。仏陀の最初の説法「初転法輪」を示唆。 |
まだ回転されたことのない | ブッダ以前には誰も成し得なかった真理の体系的伝達を意味する。新しい精神的道を拓く行為。 |
💡全体の現代語訳(まとめ)
私はこれからベナレスへ赴き、不死(涅槃)への道を知らせるための鼓を鳴らそう。
この世でいまだ誰も回したことのない、真理の教えという車輪(法輪)を、私は初めて回すであろう。
🧠解釈と現代的意義
この節は、仏陀が悟りを開いた後、初めての説法(初転法輪)を行う決意を語るものです。
それは、個人的な悟りを他者と分かち合い、人々を導く「行動の開始」を意味します。
精神的完成者としての仏陀が、世俗に再び身を投じ、まだ誰も踏み出したことのない新しい教えを伝えようとする姿勢は、「悟った後にどう生きるか」の模範でもあります。
現代社会においても、個人的な気づきや学びを社会に還元し、新たな価値を創造することこそが、真の成熟であると読み解けます。
💼ビジネスにおける解釈と応用
視点 | 応用例 |
---|---|
ビジョンと発信 | 覚悟をもって得た学びを周囲に広め、共感を生む「リーダーとしての言葉」が組織を導く。 |
未知の挑戦 | 誰もやったことのない分野に踏み出し、自分自身が道を切り開いていく勇気と責任。 |
社会貢献への転化 | 個人の成功・成長にとどまらず、それを他者のために活かすフェーズへの移行。 |
文化の創造者 | 既存のルールや思考様式にとらわれず、新しい働き方・価値観を打ち立てる。 |
🧾心得まとめ
「気づきを得た者は、歩みを止めず、それを伝える」
悟りは終点ではない。
むしろ、そこからが本当の始まりである。
学びを深めたなら、それを伝える勇気を持とう。
誰もやったことのない道を、自らの鼓で告げ、真理の輪を転がし始める――
その一歩が、次の時代を切り拓くのです。
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