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心を預ければ道は拓け、我執に従えば破滅する


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■引用原文(日本語訳)

「私に心を向けていれば、私の恩寵により、すべての苦難を越えるであろう。もし我執により、〔私の教えを〕聞かないならば、あなたは滅亡するであろう。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第58節)


■逐語訳

  • 私(神)に心を定めていれば、
  • 私の恩寵によって、あらゆる苦しみを超えるだろう。
  • しかし、もし「我執(エゴ)」によって、
  • この教えに耳を貸さないならば、あなたは滅びに至る。

■用語解説

  • 心を向ける(マナス・チッタ):内面の注意と想念を神に向けること。集中と信頼を意味する。
  • 恩寵(プラサーダ):神からの助け、加護。人間の努力を超えて与えられる霊的な導き。
  • 苦難(サルヴァ・ドゥルガニ):精神的・現実的な困難すべて。人生の試練全般。
  • 我執(アハンカーラ):自我、自己中心性、エゴ。誤った主体意識。
  • 滅亡(ヴィナシュ):精神的堕落、混乱、真理からの断絶。解脱の機会を失うこと。

■全体の現代語訳(まとめ)

「心を私に向ける者は、どのような困難にも恩寵によって乗り越えられる。
しかし、自分のエゴを拠り所にして、私の教えを拒むならば、
その者は、破滅という結果を招くであろう。」


■解釈と現代的意義

この節は、神への信愛と自我の選択の間にある大きな分かれ道を語っています。

私たちは人生の中で、困難や迷いに直面するたびに、
「信じて委ねる」か「我で押し通す」かの選択を迫られます。

ギーターは言います――
「あなたの限界ある判断にすがるな。
心を真理に向けよ。そうすれば道は自然と開かれる。」


■ビジネスにおける解釈と適用

観点実務での適用例
心の向け先(拠り所)理念・使命・真理に心を定めたリーダーは、試練にあっても揺らがず、自然と周囲に信頼される。
エゴの罠我を通す・独断で進める・人の声を聞かない――そうした態度は短期的に強そうでも、必ず崩れる。
危機時の対応困難に直面したとき、自分の力に執着せず、信頼・協働・原則に依拠することで、長期的な再起が可能となる。
内的リスクマネジメント見えないリスクは我執の中にある。「聞かぬ」「学ばぬ」「委ねぬ」心が最も深刻な危機を生む。

■心得まとめ

「心を真理に向けよ、さもなくば我が崩す」

ギーターは警告する――
「どれほど才知があろうとも、
我執のままに進む者は、道を誤る。
委ねる者だけが、困難を超え、
真の安らぎに至るのだ。」


この節は、現代社会の「自己責任論」や「自力主義」に一石を投じる、深い精神的助言です。
次の第59節では、仮に拒否しても、自然の本性により人は強制的に行動に導かれるという原理が語られます。

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