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乱世にあって、心を乱さぬ者であれ


■ 引用原文(日本語訳)

この世では自己こそ自分の主である。
他人がどうして(自分の)主であろうか?
賢者は、自分の身をよくととのえて、悩みのうちにあって悩まない。
――『ダンマパダ』第22節(二二)


■ 逐語訳と用語解説

  • 自己こそ自分の主:自分の行動・判断・心の在り方は、他人によってではなく、自己によって決まる。
  • 他人がどうして主であろうか?:外部の人や力が、心の支配者になってはならないという自律の教え。
  • 賢者(パンディタ):智慧ある人。自らの心を制し、執着や怒りに動じない人。
  • 身をよくととのえる:行動・言葉・思考・心を調律し、日々の生き方を正しく整えること。
  • 悩みのうちにあって悩まない:苦しみや困難の現実はあるが、それに心を巻き込まれず、静かな境地を保つこと(涅槃的安穏)。

■ 全体の現代語訳(まとめ)

「人生において、自分を導くのは他でもない自分自身である。
他人が自分の人生の主になることはあり得ない。
賢者は、自らを整えた結果として、たとえ外部に困難や悩みがあっても、
その内面は決して揺るがず、苦しみの中にあっても静かな安らぎを保っている。」

この教えは、「環境は変えられなくても、心のあり方は整えることができる」という仏教の核心を示しています。


■ 解釈と現代的意義

この章句が伝える最大の価値は、**「感情の自由」**です。
現代社会において、私たちの多くは「外的な出来事」によって心を乱されます。

  • 他人の言葉に傷つく
  • 期待通りにならず落ち込む
  • トラブルに巻き込まれて怒りを抑えられない

――しかし、仏教が示す賢者の姿は違います。

悩みは起きる。だが、それに心が溺れるか否かは、自分自身にかかっている。
それを実現する道が「自己の整い」なのです。


■ ビジネスにおける解釈と適用

領域適用例
リーダーシップ緊急事態や混乱の中でも、冷静で落ち着いた判断ができる人は信頼される。
感情知能(EQ)怒りや不安を外にぶつけず、自分の中で整え、穏やかな対応ができる力は職場全体の安定に寄与する。
メンタルヘルス外的要因をすぐに変えられなくても、心の調整法を身につけることでストレスを低減できる。
チームビルディング一人でも「悩みの中にあって悩まない」人がいるだけで、周囲に安心と希望をもたらす。

■ 感興のことば(心得まとめ)

「揺れる世にあっても、心は凪のように」

悩みの無い人生などない。
だが、悩みの中で乱れずにいられる人がいる。
それは、日々自らを整えている者――
嵐の中でも、灯を消さぬ者である。


この第22節は、「自己統御」の教えを**精神的な究極安定のかたち=“動じない心”**として描いています。

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