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知慧と行ないの両輪で、すべての苦しみを超えてゆけ


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📖 引用原文(日本語訳)


良い馬が鞭をあてられると、勢いよく熱気をこめて走るように、勢いよく努め励め。
信仰あり、また徳行をそなえ、精神を統一安定して、真理を確かに知って、知慧と行ないを完成し、思念をこらして、このような境地に達した人は、すべての苦しみを捨て去る。
——『ダンマパダ』第十九章 第二偈


📘 逐語訳(文ごと)

  1. 良馬が鞭で駆け出すように、君も迅速に努力せよ。
     → 賢明な人は、わずかな導きで気づき、ためらわず前に進む。
  2. 信仰・徳行・精神の集中・真理への理解・知慧と実践の完成・深い思念(内省)をそなえた人は――
     → 心と行動の両面で磨かれた存在が理想像とされる。
  3. そのような人は、あらゆる苦しみを脱し、自由になる。
     → 苦悩の原因である無明や執着から完全に離れることができる。

🧩 用語解説

用語解説
信仰(サッダー)仏法僧に対する確信・尊敬・信頼の心。
徳行(シーラ)正しい言動・生活倫理の実践。
精神の統一安定(サマーディ)心の静寂と集中、瞑想による意識の統一状態。
真理の理解(サッチャニャーナ)「苦・無常・無我」の三法印を体得する智慧。
知慧(パンニャー)と行い(カンマ)思考と実践の調和、知ることと行うことの一致。
思念(サティ)今この瞬間への気づきと内省の力。

💬 全体の現代語訳(まとめ)

良馬がわずかな刺激で素早く動くように、私たちもわずかな気づきで即座に努力を始めるべきだ。
信仰、徳、集中力、真理理解、そして「知る力と実行力」の両方を磨きながら、深い思念を維持することによって、苦しみからの完全な自由を得ることができると説いている。


🧠 解釈と現代的意義

第一偈が「行動の速さと実直さ」を説いたのに対し、第二偈では「知慧と実践の完成」「深い思念」が加わり、「人格の総合的成熟」がテーマになっています。
現代人が苦しみに囚われる理由の多くは、知っても行わず、行っても見返りに囚われる「分裂」にあります。
この節は、知ることと行うことを一体とし、そのすべてを静かに観察し続ける心(思念)を持てと説いているのです。


🏢 ビジネスにおける適用

観点適用例
知識と行動のバランス学んでも実行しない/行動しても思考がない――という偏りをなくし、「実行する知性」を持つ。
内省と継続的成長日々の業務を内省的に振り返ることで、自分の行動に意味と成長の軸を持たせられる。
感度とスピード感小さな気づき(鞭)で動ける感性を持ち、変化に迅速に対応できる人材になる。
メンタルの安定と集中雑念や感情に振り回されず、意志の集中を保つことが、高負荷な状況でも価値を生む。

🧭 心得まとめ

「知って動き、動きながら考えよ。すべての苦しみはそこから超えられる」

ただ速く動くだけでは十分ではない。
信じ、守り、考え、動き、観察し続けること――その積み重ねが、人生とビジネスの苦しみを超えるための道標となる。
この心得は、現代においても十分に活きる「行動する思索者」の姿を描いています。


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