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見る力を得た者に、真実は開かれる


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■引用原文(第11章 第8節)

聖バガヴァット(クリシュナ)は告げた。
「しかし、あなたはその肉眼によって私を見ることはできない。
私はあなたに“天眼”を授けよう。
私の神的なヨーガ(宇宙的本質)を見よ。」
—『バガヴァッド・ギーター』第11章 第8節


■逐語訳(一文ずつ訳す)

  • だが、あなた(アルジュナ)は、この肉体の眼(通常の視覚)によっては、
  • 私を見ることはできない。
  • だから私は、あなたに“天眼”(ディヴィヤ・チャクシュ)を授けよう。
  • 私の神的なヨーガ(宇宙的統一の力)を見なさい。

■用語解説

用語解説
肉眼(ナイナム・トヴァム・ママ・ルーパム・ドリシュトゥム)通常の視覚・五感による知覚。物理的・限定的な認識手段。
天眼(ディヴィヤ・チャクシュ)神の力によって授けられる霊的視野。真理・本質・宇宙の全体性を直接に観る力。
神的なヨーガ(ママ・ディヴヤム・ヨーガム)クリシュナの宇宙的本質、神の内なる力、全てを統合する働き・意志。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは「私の真の姿は、通常の目では見ることができない」と語る。
それを理解するには、物理的な視覚ではなく、“神の視点”とも言える霊的な眼――天眼――が必要である。
この天眼を授けることで、アルジュナは真理の全体像、神の宇宙的本質を直接に観ることができるのだ。


■解釈と現代的意義

この節は、「真実は、見る者の器によって見えるかどうかが決まる」という深い教えを含んでいます。
私たちは目の前の現象を「現実」として見ていますが、実はその奥にある本質――意図・構造・原理――は、
訓練された知性・霊性・感性によってしか見えません。
知識や情報ではなく、「視点の変化」「見え方の変容」が真理への鍵なのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
ビジョンと視座通常の数字や報告書だけでは見えない「未来の兆し」や「価値の本質」を見抜く力が重要。
リーダーの器状況や人を単純な尺度で判断せず、「その奥にある可能性や構造」に目を向ける能力が求められる。
イノベーション表面的な問題解決ではなく、「見えていない問題」を発見する洞察力が価値を生む。
教育と育成単なる知識伝達でなく、「ものの見方(視座)」を変える教育が真の人材を育てる。

■心得まとめ

「視点が変われば、世界が変わる」

真実は、見たい者すべてに見えるわけではない。
それを受け取る「目(視座・器)」を持つ者にだけ、
全体の構造と真の意味が見えるようになる。
ビジネスにおいても、数値や事象の背後にある「動因」や「つながり」を見るためには、
通常の論理や経験を超えた、洞察・直観・覚悟が必要なのです。
“天眼”とは、真理を見るための心の準備であり、器の完成である。


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