目次
■引用原文(日本語訳)
一八
聡明な人は、瞬時のあいだ賢者たちにつかえても、正しくさとりを開いた人(=仏)の説かれた真理をはっきりと知る。
――『ダンマパダ』
■逐語訳(意訳を含む)
- 聡明な者は、
- ほんの一瞬でも、賢者や正しく悟りを開いた仏陀に仕えれば、
- その教え(真理)を、明確に理解し、悟ることができる。
■用語解説
- 聡明な人(ヴィニータ・プルシャ):理解力、感受性、謙虚さ、そして実践的な探求心を備えた人。
- 瞬時(カラマッタ):時間の短さではなく、“集中と覚醒した意識”の象徴。
- 正しくさとりを開いた人(サンマ・サンブッダ):自らの努力によって完全な悟りに到達した仏陀。
- 真理(ダンマ):仏教における普遍の法則、道理、解脱に至るための智慧。
■全体の現代語訳(まとめ)
聡明な人は、わずかな時間でも、真理を体現する人物と交わることで、その教えの核心を理解し、自らの内に深く根づかせることができる。
それは、学びの量ではなく、学ぶ者の質――すなわち“心の深さ”がすべてを決めるからである。
■解釈と現代的意義
この章句は、「真理をつかむ力は、教える側ではなく、受け取る側に宿る」という教えを締めくくる最終的な肯定です。
人生や仕事において、どれだけの知識や人脈に囲まれていても、“それを深く理解する力”がなければ本質はつかめません。
しかし逆に、心が澄み、学ぼうとする態度があれば、わずかの接触でも真理の核心に達することができる。これは自己成長の鍵であり、人材教育やリーダーシップ形成にも通じる本質的な原則です。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
早期成長者の特徴 | 吸収力と感受性が高い人は、短期間であっても成果・視野の広がりが大きい。 |
指導の質より受け手の心構え | どれだけ優れたノウハウや教育制度があっても、学ぶ姿勢のある人こそが価値を最大化できる。 |
メンタリング | 時間の長さよりも「一瞬の気づき」を引き出すような関わりが、成長を決定づけることもある。 |
自己変革 | 真理に近づくとは「多くを知る」ことではなく、「わずかを深く感じる力」を持つことに他ならない。 |
■心得まとめ(感興のことば)
「真理とは、長く触れるより、深く染みること」
教えは量ではなく、心の澄明さによってその意味を変える。
真に学ぶ姿勢を持つ者には、一言が人生を変え、ひとときが悟りとなる。
だからこそ、常に心を開き、清く保ち、瞬間に真理を見出す目を養おう。
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