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📖 原文引用(『ダンマパダ』第二五章 第378偈)
修行僧は、身も静か、語も静か、心も静かで、
よく精神統一をなし、世俗の享楽物を吐きすてたならば、
その人は「やすらぎに帰した人」と呼ばれる。
(原文:
Santam tassa manaṃ hoti,
santā vācā ca kamma ca;
Sammadaññāvimuttassa,
upasanto’ti vuccati.
―『Dhammapada』Ch. 25, v.378)
🔍 逐語訳(逐文・簡潔)
- Santam tassa manaṃ hoti:その人の心は静かであり、
- Santā vācā ca kamma ca:言葉も行為もまた静かである。
- Sammadaññā-vimuttassa:正しい智慧によって解放された者は、
- Upasanto’ti vuccati:「やすらぎに帰した者」と呼ばれる。
📘 用語解説
- 身・語・意の静けさ:身体の行為、口にする言葉、そして心の中が、すべて穏やかで調和している状態。仏教における理想的な「三業の清浄」。
- 精神統一(samādhi):心が一点に定まり、動揺せず、明晰に保たれている状態。瞑想や修行によって到達される。
- 享楽物を吐きすてる(kāmaguṇaṃ vamitā):欲望や快楽への執着を捨てること。
- やすらぎに帰した人(upasanta):煩悩を静め、動揺せず、安らぎの境地に至った者。
🗣️ 全体の現代語訳(まとめ)
身体の行動、口から出る言葉、心のはたらきがすべて静まり、
心が統一され、欲望の対象に対する執着を捨て去った者は、
真のやすらぎに至った人、「静かなる者」と呼ばれるにふさわしい。
🧭 解釈と現代的意義
この偈は、外見ではなく「内面の調和と静けさ」こそが真の安らぎであると説いています。
現代では「しゃべりすぎ」「動きすぎ」「考えすぎ」が日常的です。しかし、それらを整えていくことで初めて、心の安定と深い幸福に近づきます。
ポイントは、「静かさ」が消極的・受動的なものではなく、主体的に整えられた力ある静けさであるということです。
💼 ビジネスにおける解釈と応用
観点 | 応用・実践例 |
---|---|
静かなリーダーシップ | 声高に指示するのではなく、「落ち着いた振る舞い・的確な発言・整った思考」で信頼を得るリーダー像。 |
感情の整え方 | 衝動的な反応ではなく、まず心を整え、静かに応じる習慣を身につけることで、トラブルを未然に防ぐ。 |
ワークライフの質 | 行動・発言・心のいずれもを「丁寧に・必要なだけ」に整えることで、余裕と集中が生まれる。 |
内的モチベーション | 外部の評価や報酬でなく、「静かにやり遂げることそのもの」に価値を見出す、自己内発的な働き方。 |
🧠 心得まとめ(ビジネスパーソン向け)
「静かであることは、力である。」
慌ただしく騒がしい中でも、静かに立ち、静かに語り、静かに考える者は、
まわりに安定感と信頼を与え、自らもブレずに進んでいける。
それこそが、現代のリーダーが持つべき「やすらぎに帰した力」である。
この偈は、内面の成熟と真の影響力を磨くための深い示唆を与えてくれます。
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