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■引用原文(日本語訳)
「すべての樹木におけるアシュヴァッタ(菩提樹)である。神仙のうちのナーラダ仙である。ガンダルヴァにおけるチトララタである。シッダ(成就者)における聖者カピラである。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第26節)
■逐語訳(一文ずつ)
- aśvatthaḥ sarva-vṛkṣāṇāṁ
→ あらゆる木々のうちのアシュヴァッタ(菩提樹)は私である。 - devarṣīṇāṁ ca nāradaḥ
→ 神仙のうちのナーラダは私である。 - gandharvānāṁ citrarathaḥ
→ ガンダルヴァ(楽神)の中ではチトララタが私である。 - siddhānāṁ kapilo muniḥ
→ シッダ(成就者)の中では聖者カピラが私である。
■用語解説
- アシュヴァッタ(Aśvattha):インド菩提樹。聖なる樹木で、知恵や悟りの象徴。仏陀がこの樹の下で悟りを開いたともされる。
- ナーラダ(Nārada):神の言葉を伝える聖仙。音楽・芸術・霊的知識に長け、神と人との仲介者とされる。
- チトララタ(Citraratha):天界の楽師であるガンダルヴァの中でも特に美しい存在。芸術と調和の象徴。
- カピラ(Kapila):サーンキヤ哲学の創始者。精神的完成者(シッダ)の中で最も偉大な聖者。
■全体の現代語訳(まとめ)
「私は、すべての木の中で聖なるアシュヴァッタ(菩提樹)であり、
神仙の中ではナーラダ仙である。音楽の精ガンダルヴァの中ではチトララタであり、
成就者(シッダ)の中では、聖哲カピラである。」
これは、神があらゆる領域において最も象徴的な存在として現れることを示しています。
■解釈と現代的意義
この節では、異なる存在の領域(植物・神仙・音楽・哲学)を通じて、
「最高の象徴=神の現れ」が語られています。
つまり、世界のあらゆるジャンルにおいて、その最も輝く存在を見つめることで、
人は神の本質に近づくことができると示しているのです。
これは多様性の中に統一された真理を見る視点でもあります。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
リーダーシップ | 自社の分野で「アシュヴァッタ(象徴的存在)」となるポジションを確立する。 |
ブランディング | ブランドが顧客にとっての「ナーラダ(信頼の伝達者)」であることを目指す。 |
チーム運営 | チトララタのように美と調和を創造し、組織内に文化的な魅力を創り出す。 |
組織哲学 | カピラのように、明確な思想とビジョンを内包する「哲学」を軸に運営する。 |
■心得まとめ
「あらゆる分野で“象徴”を目指せ」
卓越した存在は、神の現れである。
木の中に、声の中に、音楽に、哲学に。
あなたの業界においても、誰もが認める象徴的存在を目指すことが、真の道である。
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