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■引用原文(日本語訳)
「私はアーディティヤ神群におけるヴィシュヌである。光明における輝く太陽である。私はマルト神群におけるマリーチである。星宿における月である。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第21節)
■逐語訳(一文ずつ)
- adityānām ahaṁ viṣṇur
→ アーディティヤ神群の中では、私はヴィシュヌである。 - jyotiṣāṁ ravir aṁśumān
→ 光あるものの中では、私は光輝く太陽である。 - marutām asmi marīciḥ
→ マルト神群の中では、私はマリーチである。 - nakṣatrāṇām ahaṁ śaśī
→ 星宿の中では、私は月である。
■用語解説
- アーディティヤ(Adityāḥ):天空神であるアディティの子で、12の太陽神を指す。
- ヴィシュヌ(Viṣṇu):宇宙を維持する神、ヒンドゥー三大神の一柱。
- ラヴィ(Ravi)/アムシュマーン(aṁśumān):輝く太陽。あらゆる生命と力の源。
- マルト神群(Marutām):嵐の神々。雷鳴・風を司る。
- マリーチ(Marīci):光の霊、またはマルト神群のリーダー格。
- シャシー(Śaśī):月の意。夜の光、冷静さ・知恵の象徴。
- ナクシャトラ(Nakṣatra):インド占星術における27(または28)の星宿。
■全体の現代語訳(まとめ)
「私はアーディティヤ神群の中では、最も力強きヴィシュヌであり、光あるものの中では輝く太陽である。嵐の神々の中ではマリーチであり、星々の中では月である」と、クリシュナは語る。
つまり、「偉大なるものの中の最も卓越した存在」が、自らの示現であると語るのである。
■解釈と現代的意義
この節は、「神性(バガヴァン)はあらゆる存在に現れているが、その中でも特に卓越したものにその本質が表れている」と説いています。
これは「最善の中に真価を見る」という価値観であり、精神修行とは、あらゆる存在の中から“至高の輝き”を見いだす眼を養うことでもあります。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
リーダーシップ | 組織や部門の中で「最も信頼される者」や「最も影響力ある者」が、自覚と責任を持つことで、チーム全体に神性(価値)が宿る。 |
ブランド戦略 | 製品群・サービスの中で、最も顧客に感動や信頼を与えるものを“核”として位置づけ、そこに神性=本質価値を込める。 |
マネジメント思考 | 多くの選択肢や資源の中から「最善の一点」を見極めて活かすことが、成果をもたらす。 |
自己認識・才能開花 | 自分の中にある多様な側面から「最も輝く資質」を見つけ、そこに集中することが、人生の道を開く。 |
■心得まとめ
「最善に宿る神性――あらゆる中に見る、至高の一点」
すべての中に神はいる。だが、最も輝く一点にこそ、それは最も明確に示現する。
自らの中にある“太陽”に気づき、それをもって他者を照らすとき、
あなた自身がこの世界における「神の示現」となるのです。
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