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理不尽に耐える強さこそ、本当の勇気である


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■引用原文(日本語訳)

罪がないのに罵られ、なぐられ、拘禁されるのを堪え忍ぶ、
強い忍耐の力を持つ、心の猛き者――
その人を、私は〈バラモン〉と呼ぶ。

(『ダンマパダ』第399偈|第二六章「バラモン」)


■逐語訳

  • Yo sahati adhivāsati:耐え忍ぶことのできる人
  • Akkosaṃ vadha-bandhanaṃ:罵り、殴打、拘束といった苦難を
  • Atidhīro akubbato:非常に強く、しかも報復をせず
  • Tam ahaṃ brūmi brāhmaṇaṃ:その人をこそ、私は〈バラモン〉と呼ぶ

■用語解説

  • 罪なきに(akubbato):何も悪いことをしていないのに、という意味。潔白である者。
  • 罵られる・殴られる・拘禁される(akkosaṃ・vadhaṃ・bandhanaṃ):理不尽な侮辱・暴力・制圧の象徴。
  • 忍耐の力(sahati・adhivāsati):怒りや復讐に走らず、心を落ち着けて耐える力。
  • 心の猛き人(atidhīro):「非常に勇敢で剛毅な者」の意。精神的な強者。
  • 報復しない(akubbato):やられたからやり返す、という反応の連鎖を断つ姿勢。

■全体の現代語訳(まとめ)

理不尽にも罵られ、殴られ、捕らえられるような目に遭っても、怒らず、復讐をせず、
静かに、確固としてそれを耐え抜く強さを持った人――
そのような精神の剛者をこそ、仏陀は真の〈バラモン〉と呼ぶ。
力とは反撃ではなく、怒りを超えた静けさの中にあるのだ。


■解釈と現代的意義

この偈文は、**「理不尽への耐性=真の強さ」**という仏教の「忍辱」の徳を説いています。
現代社会でも、SNSでの誹謗中傷、職場での不当な扱い、あるいは日常のささいな言葉に心が乱されることがあります。
しかし、仏教は「怒って返すこと」ではなく、「怒らずに耐え、心を保つこと」を力とみなします。

これは弱さではなく、むしろ**“もっとも高次の精神力”**であり、
そこに人としての成熟と平和が宿ります。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
感情の自己制御批判や無理解に対して感情的に反応せず、冷静に受け止めて対応できる人は信頼される。
クレーム対応顧客や取引先からの不当な要求に対しても、冷静・丁寧に対応することで、組織全体の品格を守る。
ストレス耐性と冷静な判断トラブル時に「反応」ではなく「対応」を選べるリーダーが、危機を乗り越える要となる。
信頼の醸成怒りを表に出さず、静かに誠実に対応し続ける人は、長期的に必ず信頼を獲得する。

■心得まとめ

「怒らずに耐える力が、心を自由にする」
やられたからやり返す――それは本当の強さではない。
怒りを沈め、理不尽を越えて、なおも平静であるとき、
人はもっとも強く、もっとも自由で、もっとも尊い存在となる。
ビジネスにおいても、誠実と忍耐をもって困難に向き合う者こそ、
真のプロフェッショナルとして尊敬されるのです。


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