目次
📜引用原文(日本語訳)
第七章 真人(しんにん) 九〇偈
「すでに(人生の)旅路を終え、憂いをはなれ、あらゆることがらにくつろいで、あらゆる束縛の絆をのがれた人には、悩みは存在しない。」
――『ダンマパダ』第七章 第90偈
🔍逐語訳と語句解説
語句 | 解説 |
---|---|
人生の旅路を終え | ここでの「旅路」は輪廻の旅を意味する。煩悩と無知による生死の繰り返しから解放された状態。 |
憂いをはなれ | 執着・怒り・恐れ・不安など、心を乱す要素が一切消えた状態。 |
くつろいで | あらゆる緊張・努力から解き放たれ、自然体で存在している状態。 |
束縛の絆をのがれた | 我執・欲望・感情・他人の評価など、自我を縛るものからの完全な自由。 |
悩みは存在しない | 苦・憂い・恐れなどの心の動揺が一切ない、安寧・涅槃の境地。 |
🧠全体の現代語訳(まとめ)
すでに人生の執着の旅を終えた者は、心の重荷を手放している。どんな出来事にも動じず、自由な心で過ごしている。その人は、いかなる悩みにもとらわれない。真の自由を得た人の静けさがここにある。
🌐解釈と現代的意義
この偈文が描くのは、「煩悩に揺さぶられず、人生に安心している人間像」です。それは、社会から逃れることではなく、社会の中で苦悩や執着から心を解放して生きる境地です。
現代人は、絶えず「評価される不安」「成果への執着」「人間関係のしがらみ」に縛られています。だが、執着を手放し、流れに任せつつも誠実に生きる人には、心の平穏が訪れます。
💼ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 実務的応用 |
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成果主義からの解放 | 成果に固執することでストレスが増す。プロセス重視にシフトし、やるべきことを自然体で行えば、長期的な安定に繋がる。 |
評価・承認欲求からの脱却 | 「どう見られるか」ではなく、「どう在るか」に意識を向けることで、ぶれない軸が生まれる。 |
過剰な責任感の手放し | 必要以上に抱え込まない。自他の境界を明確にし、「できること」に集中することで、結果的に全体もうまく回る。 |
静けさの中の強さ | 動じない心は、チームを安定させる。「焦らず、騒がず、崩れず」は真のリーダーの資質。 |
🧘♀️心得まとめ
「すべてをやりきった者だけが、静かに笑う」
『ダンマパダ』第90偈が語るのは、外側の成功ではなく、内側の静けさです。
それは逃げた者ではなく、やり遂げて執着を手放した者だけが得ることができる平穏です。
ビジネスにおいても、自分を縛っているのは自分自身の思い込みや執着です。
そこから自由になるとき、悩みは消え、動じない力が生まれます。
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