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心を守ることが、すべての善行の源である


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■引用原文(日本語訳)

第一七章 怒り(二三三)
心がむらむらするのを、まもり落ち着けよ。
心について慎んでおれ。
心による悪い行ないを捨てて、心によって善行を行なえ。


■逐語訳

  • 心がむらむらするのを、まもり落ち着けよ。
     → 欲望や怒り、嫉妬などでかき乱されそうになる心を観察し、静めなさい。
  • 心について慎んでおれ。
     → 心の状態に細心の注意を払い、常に節度と正しい方向性を保ちなさい。
  • 心による悪い行ないを捨てて、
     → 憎しみ・妄想・傲慢・執着など、内面的な悪しき思考や意図を手放し、
  • 心によって善行を行なえ。
     → 思いやり、慈悲、理解、正直な意志など、善き心の在り方を育てなさい。

■用語解説

  • 心(チッタ):思考・意志・感情の源。仏教では「行為の中核」とされる。
  • 慎む(アパマーダ):注意深く、油断せず、感情や思考に流されない態度。
  • 心の悪行(アクサラ):貪(とん)・瞋(しん)・癡(ち)などの三毒を代表とする煩悩の心的働き。
  • 心の善行(クサラ):慈悲・正直・感謝・無執着などの徳性ある心の働き。

■全体の現代語訳(まとめ)

心がかき乱されそうなときには、それに気づいて静めなさい。
常に自分の心の動きを観察し、悪しき思いや感情を捨てて、思いやりや誠実といった善なる心を育てよ。
心の質こそが、人生全体の質を決定づけるのだ。


■解釈と現代的意義

この偈は、「心の管理こそ、すべての行いの根本である」と説いています。
身体と言葉の制御も大切ですが、それらを突き動かす「心」が乱れていては、本当の意味での善行は成り立ちません。
仏教では「心がすべてをつくる(心為主)」という思想が貫かれており、これは現代の心理学やメンタルヘルスの観点から見ても極めて重要な洞察です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
感情の自己管理怒りや嫉妬などの感情をそのまま反応に出すのではなく、自覚して手放すことで冷静な判断力を保てる。
判断力とリーダーシップ心に余裕がある人ほど、的確で公正な判断ができるため、周囲から信頼される。
ストレス対策自分の思考や感情の傾向に気づく習慣を持つことで、ストレスの連鎖を断ち、穏やかな働き方ができる。
創造性と集中力不要な感情や思考を整理し、心を整えることで、より集中したクリエイティブな仕事が可能になる。

■心得まとめ

「心を制する者は、人生を制す」
外に見える行動よりも先に、心の中にある衝動や思考を観察し、整えることが何よりも大切。
ビジネスにおいても、心の透明さ・落ち着き・健全な意図が、信頼と成果の土台となるのです。

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