目次
■原文(日本語訳)
第2章 第22節
クリシュナは言った。
「人が古い衣服を捨て、新しい衣服を着るように、主体(魂)は古い身体を捨て、他の新しい身体に行く。」
■逐語訳
- 古い衣服を捨て(ナヴァーニ・グリナーティ):破れたり、汚れたりした衣服を脱ぎ捨てるように。
- 新しい衣服を着る(ジャラーンシ・ヤター・ヴィハーヤ):新しく整った衣服を着直すことにたとえられる。
- 主体(魂)は(デーヒ):身体に宿る真の自己、アートマン。
- 古い身体を捨て(シャリーラーニ・ヴィハーヤ):死によってこの肉体を離れる。
- 新しい身体に行く(アニャーニ・サンヤーティ):転生によって新たな身体に宿る。
■用語解説
- デーヒ(主体):肉体ではなく、永遠に生きる魂。
- シャリーラ(身体):衣服のように魂が“身につけている”一時的な容れ物。
- サンヤーティ(赴く/得る):転生する、移行する、宿るという意味合い。
- 衣服の喩え:目に見える変化と、見えない本質の違いを説明するための象徴的なイメージ。
■全体の現代語訳(まとめ)
クリシュナは語る。「人が古くなった衣を脱ぎ捨てて新しい衣をまとうように、魂もまた、古くなった身体を捨てて新たな身体へと移りゆく。変わるのは衣(肉体)であり、着る者(魂)は変わらない」と。
これは転生の原理と、魂の不滅性をわかりやすく示す比喩です。
■解釈と現代的意義
この節は、「身体の死=終わり」ではないという明確な視点を与えてくれます。
人は身体や立場、役割を「自分そのもの」と思いがちですが、それらはただの「衣」であり、真の自己(魂)はそれらを超えて存在します。
この理解があれば、死を恐れず、変化を受け入れ、執着を手放す勇気が湧いてきます。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 解釈と応用例 |
---|---|
役職や肩書との距離感 | 役職や肩書は「衣」であり、変わって当然。変化しても“自分の本質”は変わらないという自覚があると、柔軟に行動できる。 |
キャリアチェンジの安心 | 転職や異動も、古い衣を脱ぎ、新たな役割をまとうだけ。怖れることなく新しい挑戦に踏み出せる。 |
外見・評価にとらわれない | 表面的な評判や成績ではなく、「本質的に自分は何を持っているか」を軸に行動することが安定につながる。 |
組織変革の本質理解 | 会社やチームが変わっても、変わらぬ理念や価値があれば、安心して前に進める。 |
■心得まとめ
「身体は着替える衣、魂は変わらぬ本質である」
変化を恐れないこと。
古いものを脱ぎ捨て、新たな自分をまとう勇気を持つこと。
本当に大切なのは、「何を着ているか」ではなく、「誰がそれを着ているか」である。
その視点が、ぶれない生き方と行動の自由を生み出す。
次の第23節では、魂の不滅性がさらに強調され、火や水、風さえもそれを損なえないと語られます。
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