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恥を知らぬ者は、世を渡りやすい――しかし、魂は濁る


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📜 引用原文(日本語訳)

恥を知らず、烏のように厚かましく、図々しく、ひとを責め、大胆で、心のよごれた者は、生活し易い。
——『ダンマパダ』第18章「汚れ」第244偈


📘 逐語訳

  • 恥を知らず:道徳的な自覚や羞恥心がない。
  • 烏のように厚かましく:図々しく、周囲を気にせずに自己中心的に振る舞うこと。
  • ひとを責め:自己を省みず、他人を非難する。
  • 大胆で:ためらいや慎みを持たず、突き進む。
  • 心のよごれた者:貪欲・怒り・無知などの煩悩にまみれた人。
  • 生活し易い:現実社会では、そうした人の方がかえって成功や利得を得やすいという皮肉。

🧾 用語解説

用語意味
恥を知らぬ道徳的な自己規制が欠如した状態。
烏(カラス)仏典では図々しく貪欲な象徴。
大胆(だいたん)本来は肯定的な意味もあるが、ここでは「厚かましい態度」として批判的に使われている。
生活し易い社会で物質的に成功したり、ストレスが少ないように見える状態。

🌏 全体の現代語訳(まとめ)

恥知らずで、自分勝手に振る舞い、他人を批判してばかりの図々しい人間は、世間ではむしろ生活しやすく見える。
しかしその生き方は、内面の清浄さを損ない、魂の堕落を招いている――仏陀はその矛盾を見つめ、私たちに「何が本当の価値か」を問うている。


💡 解釈と現代的意義

この偈は、**「道徳なき成功の危うさ」**を象徴的に表しています。

現代社会でも、図々しく要領の良い人が得をするように見える場面は少なくありません。
しかし、それはあくまで表面的・短期的な「生活しやすさ」にすぎず、魂の成熟や人間としての深みとは無縁であると、仏陀は鋭く指摘しています。

この偈は、外的な成功と内的な清らかさのどちらを選ぶかという「価値観の選択」を私たちに突きつけているのです。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
短期成果 vs 長期信頼要領よく振る舞い、一時的に成果を出す人はいるが、誠実で信頼される人が長期的に評価される。
恥を知ることの尊さ失敗や不正を自覚して反省できる人ほど、組織に信頼と安心をもたらす。
他責思考の危険他人を責めることで自己防衛する態度は、チームの分裂と士気低下を招く。
倫理的リーダーシップ強引なリーダーより、慎みと自省を備えた指導者が、人の心を動かす。

🧭 心得まとめ

「厚かましさで得るものは、魂を曇らせてまで手に入れる価値があるか」

図々しく、恥を知らず、他人を責めて自分を守る――
そうすれば一時は「うまく」生きられるかもしれない。
だがその代償は、自らの尊厳と心の清浄さである。
仏教は私たちに「何を捨て、何を守るか」を問うている。


この偈は、仏教の「真の幸福とは何か」を深く問いかける、非常に現代的な示唆に富んだ一節です。

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