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欲の波を越えて、無欲の岸に住まう


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■引用原文(日本語訳)

貪っている人々のあいだにあって、患い無く、大いに楽しく生きよう。貪っている人々のあいだにあって、貪らないで暮そう。
― 『ダンマパダ』 第十五章「楽しみ」 第199偈


■逐語訳

  • 貪っている人々のあいだにあって:物欲や執着に支配されている社会・人々の中にいながらも、
  • 患い無く:その欲望の病に苦しむことなく、
  • 大いに楽しく生きよう:心穏やかに、満ち足りた心で人生を歩もう。
  • 貪らないで暮そう:欲望に流されず、自らを律しながら安定して暮らしていこう。

■用語解説

  • 貪り(タンハー/lobha):仏教における三毒(貪・瞋・痴)のひとつ。満たされぬ欲望や執着、得ようとすることへの執念。
  • 患い(わずらい):心の不安・苦しみ。欲によって生じる精神的な混乱・葛藤。
  • 貪らない:欲望を否定するのではなく、欲望に支配されない精神の自由を持つこと。

■全体現代語訳(まとめ)

欲望に支配された社会の中で生きながらも、その欲に惑わされず、心の平安を保って生きよう――というのがこの偈のメッセージです。人々が得ること・持つこと・競うことに振り回されている中、自分は「いまあるものに満足する力」を持って、患いなく暮らすことが真の楽しみであると説いています。


■解釈と現代的意義

この偈は「物質主義の中でも精神的満足を持つことができる」という智慧を伝えています。
現代社会は消費・競争・成功を追い求める傾向が強く、他人との比較や不足感が苦しみを生んでいます。ブッダは、それらに巻き込まれず、無欲で暮らすことこそが、自由で楽しい生き方だと教えます。

「持たないこと」ではなく、「持ちたいと思わないこと」が、真の自由への道なのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈・応用例
マネジメントと報酬他人の成果や報酬に対する羨望ではなく、自らの使命と成長に軸を置くことで、健全な働き方ができる。
意思決定と倫理利益に目がくらまず、公平と長期的視点に立った判断を下すリーダーが信頼を集める。
チーム運営過度なインセンティブ競争よりも、共感・目的共有に基づく組織の方が、持続的に成果を出せる。
個人の成長物質的成果だけを追うのではなく、内面的充実(知識・人格・関係性)を重視することで、豊かなキャリアを築ける。

■心得まとめ(ビジネス視点)

「欲を離れてこそ、本当の豊かさが見えてくる」

周囲が競争と成果に明け暮れる中、自分自身の基準と価値観を保ち、満たされた心で働くこと。それは弱さではなく、「惑わされない強さ」であり、「自分を生きる力」です。
ブッダのこの偈は、現代のビジネス社会においてこそ、心の羅針盤として必要とされる智慧なのです。


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