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一本ではなく、林ごと断て――煩悩の根を絶つ者となれ


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■引用原文(ダンマパダ 第二〇章「道」第283偈)

一つの樹を伐るのではなくて、(煩悩の)林を伐れ。
危険は林から生じる。
(煩悩の)林とその下生えとを切って、林(=煩悩)から脱れた者となれ。修行僧らよ。


■逐語訳

  • 一本の木だけを切るのでは足りない。
  • 煩悩という「林」全体を切り払わなければならない。
  • 危険や災いは、この林の中から生じる。
  • 大きな木(主要な煩悩)だけでなく、その根元に生える下生え(微細な煩悩)まで取り除いて、
  • 煩悩という林を完全に出た者となれ、修行僧よ。

■用語解説

用語解説
樹/林(煩悩)欲望・怒り・無知などの心を縛る感情の集合体。一本の感情ではなく、複雑に絡み合う「森」のように存在する。
危険苦しみ・迷い・悪業の原因。根源的には煩悩から発している。
下生え(したばえ)表面には目立たないが、内面にひそむ微細な執着・妬み・傲慢などの感情。
林から脱れた者煩悩から完全に離れた者。自由で平静な境地に至った修行者。

■全体の現代語訳(まとめ)

煩悩(欲望・怒り・無知)というものは、決して一本の木のように単純ではなく、林のように深く複雑に広がっている。
だからこそ、目に見える表面的な欲望だけを断つのでは不十分であり、その背後にある習慣的な思考・感情の根本ごと断ち切る必要がある。
そうしてはじめて、人は煩悩から脱し、真に自由な存在となることができる。


■解釈と現代的意義

この偈は、問題の「根本原因」に目を向けよという強いメッセージです。
日々の悩みや葛藤は、単発の出来事からではなく、**積み重なった感情や習慣(=林)**から生じます。
そのため、目の前の怒りや不満(=一本の木)を刈るだけでは解決せず、背後にある「思考パターン」「価値観」「自己イメージ」にまで切り込むことが必要です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
根本原因分析問題が発生したとき、表面的な事象(失敗・ミス)ではなく、構造的な要因(仕組み・文化・習慣)に注目することが解決につながる。
感情のセルフマネジメント怒りや嫉妬が生じたとき、「なぜこの感情が生まれるのか」を深く掘り下げる姿勢が、自己成長の鍵となる。
組織変革小手先の制度改革ではなく、企業文化やマインドセットといった「林」そのものに手を入れなければ、真の改革は実現しない。
人材育成表面的なスキルだけでなく、行動や思考の“根”となる価値観や信念にアプローチする教育が重要。

■心得まとめ

「小さな枝を切るだけでは、森の支配からは逃れられない」
私たちの苦しみや停滞は、単発の感情や出来事ではなく、複雑に絡み合った煩悩の林から生じる。
表面の対処ではなく、思考や習慣の根本を問い直し、徹底的に整えることで、はじめて自由と成長の道が開かれる。

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