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愛執こそ、あらゆる苦の根源である


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📖 引用原文

世間の憂いと悲しみ、また苦しみはいろいろである。愛するものに由って、ここにこの一切が存在しているのである。愛するものが存在しないならば、このようなことは決して有り得ないであろう。
——『ダンマパダ(法句経)』第5章 第三句


🧩 逐語訳

  • 世間の憂いと悲しみ、また苦しみはいろいろである。
     この世の中には、心配・嘆き・痛みなど、さまざまな苦しみが存在する。
  • 愛するものに由って、ここにこの一切が存在しているのである。
     それらの苦しみはすべて、「愛着」や「執着」によって生まれている。
  • 愛するものが存在しないならば、このようなことは決して有り得ないであろう。
     もし「執着の対象」がなければ、それにまつわる苦しみも起こらない。

🔍 用語解説

用語解説
世間の憂い・悲しみ・苦しみ日常的な不安・喪失・対人関係のストレス、期待外れ、嫉妬、老病死などを含む広範な苦。
愛するもの(執着の対象)愛情を抱く人・物・関係・地位・評価・理想など、自我が依存するすべての対象。
由って「…が原因で」「…によって」の意。
存在している苦しみの原因が「外」にあるのではなく「内なる執着」によって現れていることを示す。

🗣 全体の現代語訳(まとめ)

この世界には、あらゆる種類の悲しみや悩み、苦痛がある。
だがそれらは、外部からやってくるものではなく、私たちが「愛してやまないもの」――すなわち執着しているもの――によって生じている。
その対象がなければ、苦しみもまた存在しない。
この句は、苦悩の本質が「執着」という内的原因にあることを、明確に示している。


🧠 解釈と現代的意義

この句は「苦しみの根源は外ではなく、自らの心にある」という仏教の核心的な教えを端的に表しています。
私たちは、誰かが期待に応えてくれないことに悩み、目標が果たされないことに落胆し、人の変化に傷つきます。
それらのすべては、「こうあってほしい」「こうあるべきだ」という思い込み――すなわち愛執から生じています。
それを手放したとき、心は驚くほど自由になります。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
クライアントとの関係「絶対にこの取引を成功させねば」という執着が、過剰なストレスや恐れを生む。冷静さを保つには、ある程度の非執着が必要。
キャリア志向地位・報酬・称賛などへの執着が強いと、達成できなかったときに自己否定に陥りやすい。
チームマネジメント部下や同僚に対する「こうあるべき」という期待が、摩擦やストレスを生む原因になることがある。
判断と戦略執着によって視野が狭まり、変化への適応や柔軟性を失いやすい。非執着の姿勢が長期的判断を助ける。

🧭 心得まとめ

「苦しみは、外からやってくるのではない。内なる執着が生むものである」

愛することそのものが悪いわけではない。
だが、それに「しがみつき、手放せない心」が苦しみを生む。
あらゆる憂いと悲しみ、そして苦痛は、自らの心が「これがほしい」「失いたくない」と執着することによって生じている。
苦を断ちたいなら、まず「執着の正体」を見つめ、静かに手放すこと――そこから自由と智慧の人生が始まります。


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