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独りであっても、正しい道をゆけ


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■引用原文(日本語訳)

旅に出て、もしも自分よりもすぐれた者か、または自分にひとしい者に出会わなかったら、
むしろきっぱりと独りで行け。愚かな者を道伴れにしてはならぬ。
——『ダンマパダ』第5章 第61偈


■逐語訳

  • 旅に出て:人生という修行の旅において。
  • 自分よりもすぐれた者か、または自分にひとしい者:道徳・智慧・人格において高い資質を持つ者、あるいは同等の者。
  • きっぱりと独りで行け:迷わず、ためらわず、確信を持って一人で歩め。
  • 愚かな者を道伴れにしてはならぬ:無知や悪しき傾向を持つ者と行動を共にしてはならない。

■用語解説

  • 旅(チャーリカー):人生の道、修行の道を象徴する比喩。
  • すぐれた者/ひとしい者:精神的な指導者や仲間。自己を高め合える関係性。
  • 愚かな者(バーラ):無知・自己中心・欲望に支配された人。単に無学ではなく、徳に背を向ける者。
  • 独りで行け:自己依存(アッタ・ディッパ)と自立の精神を示す。

■全体の現代語訳(まとめ)

もし人生という旅路において、あなたの成長を助けてくれる者、あるいはあなたと共に切磋琢磨できる者に出会えなかったら、
無理に誰かと歩むのではなく、むしろ一人で真っ直ぐに歩んでいくべきである。
間違っても、愚かな人を無理に仲間として道連れにしてはならない。それはあなたの成長を妨げ、迷いのもとになる。


■解釈と現代的意義

この偈は「孤独を恐れるより、誤った関係を恐れよ」という戒めです。
誰かと一緒にいること自体を目的にしてしまえば、判断力を失い、自己成長の妨げとなるような人とも関係を結んでしまう。
それよりも、たとえ一人であっても、自分の信じる道を進むことが尊いのだと説いています。
これは、自己の成長と誠実な道を守るための、厳しくも深い智慧です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
採用・チーム形成能力や人格において信頼できる人材がいなければ、急いでチームを作るのではなく、単独でも理念に忠実に動いたほうがよい。
パートナー選び妥協して価値観が合わない企業や人物と組むより、時間がかかっても本質を共有できる相手を選ぶべき。
起業・新規事業仲間がいないからといって安易に協業すれば、方向性がぶれて事業が瓦解する恐れも。初期は一人でも理念に沿って始めるほうが堅実。
意思決定多数派の意見だからといって妥協せず、信念に基づく「孤高の判断」を貫くべきときがある。

■心得まとめ

「道を誤るより、独りで歩む勇気を持て」
人は孤独を恐れやすいが、誤った関係の中で流される方が、はるかに危険である。
真に志ある人は、同道できる仲間がいなければ、一人でも歩み続けるべきである。
その姿こそが、いずれ良き仲間を引き寄せる力となるのだ。

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