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望まず、濁らず、静かに捨てる者は、真に愛される

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■引用原文(日本語訳)

「何ごとも期待せず、清浄で有能、中立を守り、動揺を離れ、すべての企図を捨て、私を信愛する人、彼は私にとって愛しい。」
(『バガヴァッド・ギーター』第12章 第16節)

■逐語訳

何ものにも期待せず(アナーペクシャハ)、
心が清らかで(シュッチヒ)、
有能で(ダクシャハ)、
偏らず(ウダーシーナ)、
動揺せず(ガタ・ヴヤタハ)、
すべての企図を手放し(サルヴァーラムバ・パリティヤーギー)、
なおかつ私を信愛する人(マド・バクタ)、
そのような人は、私にとって愛しい(サ・メ・プラーヤハ)。

■用語解説

  • 期待せず(アナーペクシャ):見返り・成功・賞賛などに期待せず、あるがままを受け入れる態度。
  • 清浄(シュッチ):身体的にも精神的にも純粋であること。清潔・誠実・透明な内面。
  • 有能(ダクシャ):実務や判断において適切に動ける力。単なる修行者ではなく、有能さも備える。
  • 中立(ウダーシーナ):好き嫌いや損得に左右されず、偏らぬ姿勢。公平・静観の境地。
  • 動揺しない(ガタ・ヴヤタ):喜怒哀楽に大きく心を揺らされず、冷静で安定している。
  • 企図を捨てる(サルヴァーラムバ・パリティヤーガ):私的な目的や野心的な企てを手放すこと。
  • 信愛(バクタ):神または理想に一途に仕える深い愛と献身の姿勢。

■全体の現代語訳(まとめ)

何ものにも期待せず、心清らかで、有能ながらも偏らず、感情に振り回されず、自分の利得を求めた企てを捨て、なお神を心から信愛する――そのような人は、神にとって最も愛すべき存在である。

■解釈と現代的意義

この節は、理想的な“静かな人格者”の資質の集大成の一つです。
「望まず、濁らず、焦らず、動かず、私欲を手放す」――そのような姿勢は、霊的修行の核心であると同時に、現代社会においても高い精神性・信頼性・安定感を持つ人物像に通じます。

特に、「能力と清浄さの両立」「実務力と私心なき態度の両立」が強調されている点が重要です。

■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
利己的でない有能さ成果や栄誉を求めず、チームや組織のために淡々と結果を出す人は、最も信頼される。
中立性と冷静さ感情や立場に偏らず、公平・公正に判断できるリーダーは、組織の安定と調和を支える。
清らかな影響力利益誘導や隠し事のない「透明な人間性」は、ビジネスにおいても最高のブランド資産である。
無駄な企図を捨てるあれこれと策を巡らせず、「必要なことだけを誠実に行う」ことが、結果的に最大の効果を生む。

■心得まとめ

「欲せず、濁らず、捨てて、愛する」
多くを望まず、私心なく、誠実に行動できる人は、静かに深く周囲に信頼される。
『ギーター』が愛すると語る人物は、華やかさや強さよりも、清らかさ・有能さ・無執着という内なる力を備えた者である。
現代においても、最も尊敬される人物とは――何も誇らず、何も欲せず、ただ真っ直ぐに生きる人なのだ。

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