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執着なき者こそ、ヨーガの頂に立つ


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■引用原文(日本語訳)

「実に、感官の対象と行為とに執着せず、すべての意図を放擲した人は、ヨーガに登った人と言われる。」
(『バガヴァッド・ギーター』第6章 第4節)


■逐語訳(一文ずつ)

  • 感覚の対象(外界の快楽)と行為(行動・仕事)に対する執着を捨て、
  • すべての意図(目的・願望・動機)を放棄した者は、
  • 真にヨーガを成就した者(ヨーガに登った人)と呼ばれる。

■用語解説

  • 感官の対象(ヴィシャヤ):五感を通じて得られる快楽的な対象。たとえば、美味しい食事、音楽、称賛、物欲など。
  • 行為(カルマ):日常生活・仕事・義務など、あらゆる能動的な行い。
  • 執着(アースクティ):欲望や自己中心的なこだわり。対象に対する「手放せない気持ち」。
  • 意図(サンカルパ):何かを「成し遂げたい」「こうなってほしい」と望む内的動機。
  • ヨーガに登った人(ユクタ):ヨーガを達成し、心の統一と自由を得た人物。

■全体の現代語訳(まとめ)

感覚的な快楽や仕事の成果に心を奪われず、自分の中の意図や欲望までも手放した人は、真にヨーガを成就した者である。
行動するか否かではなく、その**「動機や執着の有無」**によって、成熟の度合いが測られる。


■解釈と現代的意義

この節は、真の成熟とは「どれだけ行動するか」ではなく、「どれだけ執着から自由であるか」によって測られることを教えています。
つまり、外の世界(モノ・成果)に心を奪われず、内面的な意図さえも超越する人が、ヨーガの完成者であるという逆説的な真理を説いています。
これは現代のビジネス社会にも深く通じる哲理です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈と適用例
キャリアの成熟高収入や肩書きに執着し続けるうちは「登りかけの道」に過ぎない。内面の静けさを持つ人が、真に成熟したビジネスパーソン。
意思決定顧客・上司・利益といった「外的圧力」や「自分の願望」に左右されない判断が、最も信頼される。
心理的安全結果を気にせず、執着なく行動できる環境をつくることで、チームは最大の創造力を発揮できる。
真のプロフェッショナリズムモチベーションを外に置かず、自分の内面の安定から行動できる人は、ブレず、尊敬される存在となる。

■心得まとめ

「執着の手放しが、心の頂を開く」
働くこと、成功を目指すこと、それ自体が悪いのではない。
問題は、それにしがみつく心である。
結果や欲望に縛られることなく、すべきことを果たす――
それこそが、ヨーガの完成者、真の達人であると『ギーター』は教えている。
現代のビジネスにおいても、「成果を気にしないで仕事をする人」こそが、最も成果を上げるのである。

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