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どの道にも苦はある、されど真理の苦は光に通ず


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■引用原文(日本語訳)

出家の生活は、困難であり、それを楽しむことは難しい。
(世俗の)家に住むのも、堪え難いことである。
心を同じくしない人々と共に住むのも、苦しいことである。
迷いの生存を重ねることは、苦しみである。

―『ダンマパダ』第11章 第8偈


■逐語訳

  • 出家の生活は困難であり(dukkhā sāmaṇṇabhūmi):修行生活(出家の道)は苦しく、
  • それを楽しむことは難しい(durabhiramā):喜びを感じることも難しい。
  • 家に住むのも堪え難い(agāram pana dukkham):在家生活もまた苦しみに満ちている。
  • 心を同じくしない人々と住むのも苦しい(samaṇānampi dukkham):価値観や心を異にする者と共に生活するのも苦である。
  • 迷いの生存を重ねることは、苦しみである(saṁsārepi dukkham):輪廻(生存の繰り返し)それ自体が根本的な苦である。

■用語解説

  • 出家生活(sāmaṇṇabhūmi):修行者・比丘としての人生。禁欲・戒律・精神集中を伴う生き方。
  • 家に住む(agāra):在家生活。家庭・社会に身を置き、欲望や責任に囲まれた生活。
  • 心を同じくしない人々:価値観が合わない、信頼が築けない人間関係の中に生きること。
  • 迷いの生存(saṁsāra):輪廻転生の循環。煩悩と無明によって繰り返される生死の流転。
  • 苦(dukkha):不満・不安・不快・葛藤を含む、仏教的「存在の本質としての苦しみ」。

■全体の現代語訳(まとめ)

仏陀は「どの生き方にも苦が伴う」ことを説いている。修行の道は険しく、在家の生活もまた責任と欲望に満ちていて心安らかではない。さらに、価値観の違う人々との関係や、終わりのない生存の繰り返しもまた、深い苦しみの根源であると教えている。


■解釈と現代的意義

この偈は「どの道を選んでも楽ではない」という人生観を与えてくれます。逃げ場を求めても、そこにまた別の苦がある――ゆえに、「苦を避ける」ことではなく、「苦を引き受けながら生きる智慧を得る」ことこそが肝要であるというメッセージです。

現代人は仕事・家庭・人間関係・将来への不安など、様々な場面で「どこにいても楽ではない」現実に直面します。この偈は、その事実を受け入れ、より意味ある苦を選び取る姿勢を促します。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点現代ビジネスでの適用例
キャリア選択の苦悩起業も雇用も、それぞれに困難がある。苦がない道を求めるのではなく、自分にとって意味のある困難を選ぶべき。
組織内の人間関係価値観や目的を共有できない環境にいることのストレスは大きい。ミッションの共有は精神的健全性に直結する。
働き方と内面の充実表面的な“楽さ”よりも、困難の中に自分の使命や学びがある働き方こそが長期的充足を生む。
マネジメントの構造理解管理職にも現場にも、それぞれの“耐え難い苦”がある。それを理解し合える組織が強くなる。

■心得まとめ

「苦のない道はない。だが、意味ある苦は人を高める」

どの道にも困難はある――修行の道も、家庭生活も、職場も、関係性も、人生そのものも。
仏陀のこの偈は「苦しみを避けることではなく、それを正しく理解し、選び取り、意味づけて歩むこと」の大切さを教えてくれます。
現代においても、「どこにいてもつらい」と感じたときこそ、この偈の智慧が心を支えてくれるのです。


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