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生の根源を見きわめ、苦しみの終わりに至る


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📖 引用原文(『ダンマパダ』第33章「バラモン」第47偈)

前世の生涯を知り、
また天上と地獄とを見、
生存を滅ぼしつくすに至って、
直観智を確立した聖者、
苦しみの終末を明らかに知った人、

かれをわれは〈バラモン〉と呼ぶ。


🔍 逐語訳(意訳)

  • 過去世(前生)を記憶し、
  • 諸々の世界(天上界・地獄界)を見通し、
  • もはや再生しない境地(生存の断絶=輪廻の終焉)に至り、
  • 内なる智慧(直観智=ヴィパッサナー)を確立し、
  • 苦しみの根源とその滅尽を明らかに体得した人――
    その人を仏陀は〈バラモン〉と呼ぶ。

🧘‍♂️ 用語解説

用語解説
前世(プールヴァニヴァーサ)自己の過去生(過去の輪廻)における生涯の記憶。
天上と地獄六道の中でも、快楽(デーヴァ)と苦痛(ナーラカ)を代表する世界。
生存を滅ぼす(ブーヴァナ・ニローダ)輪廻(サンサーラ)の流れを断ち、再生のない解脱を得ること。
直観智(ヴィパッサナー・ニャーナ)真理を見通す智慧。無常・苦・無我の三相を体得した見識。
苦しみの終末(ドゥッカ・ニローダ)四聖諦の第四「滅諦」。完全なる涅槃(ニッバーナ)の体得。

🗣 全体の現代語訳(まとめ)

過去の命を見通し、
この世とあの世の姿を見届け、
輪廻の根を断ち切って、
智慧をもって真理を悟り、
苦しみの終わりを明らかに知った者――
その人こそ、仏陀が説く〈バラモン〉である。


🧭 解釈と現代的意義

この偈は、仏教における“完全なる覚者”を象徴しています。
悟りとは、「今を上手に生きる」ことにとどまらず、生死そのものの連鎖を根本から理解し、そこから自由になること。

それは単なる知識や瞑想体験ではなく、「輪廻の終焉をもって、苦の終わりを体感する智慧」に他なりません。
現代的に言えば、どのような現象にも執着せず、心が根本から静まった人間像です。


🏢 ビジネスにおける解釈と適用

観点応用・実践例
長期的視野の確立一時の感情や成否にとらわれず、人生単位、組織単位での本質的判断ができる。
本質への洞察問題の表層ではなく、根源(構造・文化・心理)を見抜く知性。
学びと経験の統合過去の経験、他者の視点、現在の直観を総合し、賢明な行動を取る力。
究極的に自由なリーダー成功にも執着せず、苦にも怯えず、平静にチームや理念を導く存在。

💡 感興のことば:心得まとめ

「輪廻を見きわめ、苦しみの根を絶つ者」

ただ今だけを生きる人ではなく、
生の連鎖を超えて、すべてを見通す目を持つ者。
その人はもはや、誰にも支配されず、
世界に従うことも、反発することもない。
それが、静かな勝者〈バラモン〉の姿である。


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