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己こそ、己を導く唯一の御者である


目次

📖 引用原文(日本語訳)

一四
実に自己は自分の主である。
自己は自分の帰趣(きしゅ)である。
故に自分を制御せよ。御者が良い馬を調練するように。
——『ダンマパダ』第十九章 第十四偈
※この偈にて「馬の章」完結


📘 逐語訳(文ごと)

  1. 実に、自己(アッタ)は自分自身の主(パティ)である。
     → 誰も他人によって支配されるべきではなく、自分の人生を支配するのは自分である。
  2. 自己は自分の帰趣(行き先・帰る場所)である。
     → どこに向かうかは自分自身の心と行動にかかっている。
  3. だからこそ、自分自身を制御せよ。
     → 自分の心・欲・怒り・思いをしっかりコントロールせよ。
  4. 御者が良い馬を調練するように。
     → 感情や欲望の馬を、自分という御者が確かに導くべきである。

🧩 用語解説

用語解説
自己(アッタ)単なる「自分」ではなく、人格・意思・行為の総体。仏教では変化しうる主体。
主(パティ)支配者・管理者の意味。ここでは「自分の人生の責任者」。
帰趣(ニーヴェーサナ)最終的に帰着する場所、人生の方向性や結果の意。
御者と良馬知性と欲望/理性と感情の関係。自己制御の中心的比喩。

💬 全体の現代語訳(まとめ)

自分自身こそが、自分の人生を支配する存在であり、
その行き先を決めるのも自分である。
だからこそ、自らを律し、賢く導かねばならない。
まるで熟練の御者が優れた馬をしっかりと調教し導くように、
あなた自身が、あなた自身の御者でなければならない。


🧠 解釈と現代的意義

この偈は、「馬の章」の思想を一言に要約したものです。
外に依存せず、他者に運命をゆだねず、自分の責任を自分で引き受けることの尊さと覚悟が語られています。

現代では、多忙・情報過多・他責的環境によって「自分を見失う」ことが増えていますが、
この偈は、そんな時に立ち返るべき核心を指し示してくれます。


🏢 ビジネスにおける適用

観点適用例
自己責任と自律性結果や失敗を外に求めるのではなく、すべては自分の意志と選択に基づくと考える姿勢が、信頼と成果につながる。
目標設定と進路決定キャリアやプロジェクトの方向性は、最終的に自分の価値観と意思で決めるべきものである。
リーダーシップの基礎他者を導く前に、自分を導ける人が真のリーダーである。
感情と衝動のマネジメント欲望・怒り・惰性に振り回されず、冷静に選択と行動を取る力が、安定的成果を生む。

🧭 心得まとめ

「自分の主は、他人ではなく、自分である」

自分の行き先を決めるのも、
その道をどう歩むかを導くのも、
最終的には「自分自身」しかいない。

御者が馬を導くように、
私たちは自分の意志・心・行動を調え、苦しみの輪から抜け出す方向へ導いていかねばならない。


🏁 総括:「馬の章(第十九章)」の完結として

この第十四偈により、

  • 第一偈の「良馬の一鞭に始まり」
  • 中盤の「自己調御」
  • 終盤の「内なる主としての自覚」
    が一貫したテーマとして繋がり、自己完成への教えの旅路が完結します。
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