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己を馴らす者は、神々さえも敬う


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📖 引用原文(日本語訳)


御者が馬をよく馴らしたように、おのが感官を静め、欠点を捨て、汚れのなくなった人――
その人を神々でさえもつねに羨む。
――『ダンマパダ』第十九章 第三偈


📘 逐語訳(文ごと)

  1. 御者が馬をよく馴らしたように、自らの感官をよく調御した人は――
     → 熟練した御者が暴れる馬を制御するように、自分の欲望や五感をコントロールする者。
  2. 欠点を捨て、心の汚れ(煩悩)を消し去った者は――
     → 怒り・嫉妬・慢心などの内面の欠点を克服し、心を清らかにした人。
  3. その人を、天界の神々でさえ常に尊敬し、羨む。
     → 人として到達できる最も高貴な状態にある者は、天の存在にすら敬愛される。

🧩 用語解説

用語意味
御者馬を制御する者。ここでは自己の感情・欲望を制御する賢者の比喩。
感官(インドリヤ)五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)+心(意識)を指す。
欠点怒り・貪り・無知など、解脱を妨げる心の傾向。
汚れ(アスラヴァ)心に蓄積する煩悩・執着・悪しき行為の痕跡。
神々天界に生まれた存在。修行者を賞賛し羨む存在として描かれる。

💬 全体の現代語訳(まとめ)

熟練した御者が激しい馬を静めるように、自らの五感と欲望をしっかりと制御し、心の煩悩や欠点を克服した者は、ただ人間の中で優れているだけでなく、神々ですら敬い羨む存在となる。
内面を制する者は、外界の賞賛をも自然と引き寄せるという教えである。


🧠 解釈と現代的意義

この偈は、外に向かう力(行為や努力)から、内なる制御と浄化へとテーマが移行しています。
現代社会では、能力・結果・スピードが重視されますが、それらを動かす「内なるエンジン(感情や欲望)」を制御しなければ、暴走や堕落を招きます。
本当の強さとは、外の力ではなく、内の平静と清らかさから生まれるものであり、それは人間だけでなく神々をも感嘆させる力となる――という普遍的メッセージです。


🏢 ビジネスにおける適用

観点適用例
感情の自己制御怒りや焦り、不安に流されず、冷静に判断・対応できるリーダーは、信頼を集める。
内面の清潔さ責任逃れ・裏切り・慢心を持たず、誠実・謙虚・自己反省を持ち続ける人は長期的に評価される。
マインドフルネス自分の状態を常に観察し、必要なときに心のブレーキを踏める「内なる御者」の育成が、パフォーマンスと幸福を両立させる。
真のリーダーシップ実力だけでなく、人間としての深み・気品を備えた人が、社内外から自然と敬意を得る。

🧭 心得まとめ

「自らを制する者は、天の尊敬をも勝ち得る」

走り続けるだけでは十分ではない。
感情を静め、欲望を見つめ、欠点を克服する者こそが、真に高貴な存在となる。
そのような人は、結果的に他者を惹きつけ、天の存在にさえ敬われる――この偈は、「内なる気品」の力を教えてくれます。


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