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傷つけない者は、真に強く、自由である


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🔖 原文(日本語訳)

「他人を傷つける人々のあいだにあって、われらは人を傷つけることなく、いとも楽しく生きて行こう。
他人を傷つける人々のあいだにあって、われらは人を傷つけること無く暮そう。」
――『ダンマパダ』第5章「愉楽品」第46偈


📝 逐語訳と要点解説

  • 他人を傷つける人々(hiṁsakā):怒り・攻撃・中傷・暴力などで他者を害する人々。
  • 人を傷つけることなく(ahiṁsaka):身体的・言語的・精神的暴力を一切用いない者。
  • 楽しく生きる(sukhaṁ jīve):穏やかに、心を乱されることなく、真に満ち足りた日々を送ること。

🧩 用語解説

用語解説
アヒンサー(ahiṁsā)仏教・ジャイナ教・ヒンドゥー教に共通する非暴力の倫理。暴力を行わないだけでなく、悪意・敵意を手放す精神を含む。
hiṁsā(傷つけること)直接的な攻撃だけでなく、怒り・悪意・中傷・無視といった「精神的暴力」も含まれる。
sukham jīve(楽しく生きる)外的状況ではなく、内なる心の静けさを保って生きることの喜びを指す。

🌐 全体の現代語訳(まとめ)

暴力や悪意が飛び交う世の中にあっても、
私たちは人を傷つけずに、
静かで、楽しく、生きることができる。

怒りの連鎖に巻き込まれず、
他者を害することなく、
自分の中に平穏を保って暮らすこと――
それが真の力である。


💡 解釈と現代的意義

この偈は、現代における「自己防衛的攻撃」「SNSでの誹謗中傷」「報復感情」などが蔓延する社会において、
怒りと暴力に染まらずに生きることが、いかに尊く強いかを教えてくれます。

  • 「やられたからやり返す」「言われたから言い返す」では、争いが終わらない。
  • 他人が傷つけていても、自分まで傷つける側に回る必要はない。
  • 非暴力とは「逃げ」ではなく、深い自律と慈悲の表現である。

🏢 ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈・適用例
対立管理批判や攻撃に対して、対立的な言葉で返さず、沈黙・共感・事実で応答する姿勢が対話を生む。
チーム運営部下のミスを怒りで罰せず、原因の共有と再発防止の道を共に探るリーダーが信頼される。
SNS・情報発信ネガティブコメントに感情的に反応せず、建設的・丁寧な姿勢でブランドイメージを守る。
競合との関係敵対的な競合戦略を真似るのではなく、自社の理念と倫理を貫くことで、独自の信頼と顧客を築く。

✅ 心得まとめ

「怒りに染まらぬ者こそ、真に強い」

傷つけられても傷つけ返さない者は、
恐れではなく、確固たる慈悲と信念に生きている。

他人が怒りに支配されていても、
自分の中に平和を保ち続けることができるなら、
それは最上の安楽であり、真の自由である。


この偈は、前の偈(45)と対になっており、
**「悩みを持たぬ者(無癡)」→「傷つけぬ者(無瞋)」**という流れで
仏教的理想の人格形成の指針が説かれています。

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