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尊敬にも敵意にも揺れず、自らを捨てる者こそ自由人


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■引用原文(日本語訳)

「彼は尊敬と軽蔑とを同一視し、味方と敵とを同一視し、一切の企図を捨てる。このような人が、要素(グナ)を超越した者と言われる。」
(第14章 第25節)


■逐語訳

その人は――
・尊敬されるときも、軽んじられるときも、等しく見て、
・味方と敵を差別せず、
・すべての行為目的(個人的な意図)を放棄し、
このような者こそが、三グナ(性質)を超越した人であると称される。


■用語解説

  • 尊敬と軽蔑の同一視(māna-apamāna-tulyaḥ):他者からの評価に心を乱されない。
  • 味方と敵の同一視(mitra-ari-tulya-cittaḥ):敵対する者にも慈悲と平等のまなざしを持つ。
  • 一切の企図を捨てる(sarva-arambha-parityāgī):「自分のために何かを成そう」という意図、自己中心的な行為動機を放棄する。
  • 要素(guṇān)を超越する(guṇātītaḥ):性質に巻き込まれず、真我にとどまり続ける状態。

■全体の現代語訳(まとめ)

性質を超越した人とは、
他人からの尊敬にも侮辱にも動じず、
味方にも敵にも等しく接し
自己目的のための計らいや意図を完全に捨てた人である。
彼はすでに「性質の支配を超えた地点」に立っている。


■解釈と現代的意義

この節は、「人格の完成形」としての理想像を描いています。
それは、次のような境地です:

  • 人から認められても高ぶらず、否定されても落ち込まない。
  • 利害関係で人を分けず、あらゆる存在に平等なまなざしを持つ。
  • 自分のために動こうとせず、「自然に応じて動く」だけの静かな生き方。

このような人は、もはや「反応する人生」から離れ、
**静観と奉仕の心で満ちた“自由な存在”**となります。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
上司・部下からの評価への無執着評価や人間関係にとらわれず、本質的な行動を取り続ける姿勢が長期的成果を生む。
利害に左右されない信頼構築敵味方に分けずに誠実に接する人は、組織内外で最も深く信頼される。
目的に縛られず、意義に生きる「昇進のため」「成果のため」ではなく、「意味のあること」を淡々と続ける人が最終的に成果も手にする。
成熟したリーダー像勝ち負け、評価、部下の忠誠といった表面的な動きにとらわれず、静かな指針を持つリーダーは、困難なときほど組織を支える。

■心得まとめ

「誉れも恥も、味方も敵も、ただ“ある”がままに見よ」

その人が求めるのは、外からの称賛でも敵の排除でもない。
自我の欲望を静かに手放し、すべてに公平で、静かな心で世界を観る。
――このような人こそが、真に自由で揺るぎない人格者である。


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